研究課題
微小管の配向パターン形成の制御は、染色体分離や細胞極性、形態形成など生物に必須な活動に寄与している。発生や環境シグナルに応答し植物が表層微小管の変化させるためには、カタニンによる微小管切断が重要である。微小管動態解析により植物体表面の間期表皮細胞における微小管切断部位や切断に要する時間は確認できるが、カタニンの局在性や切断活性制御の分子基盤は明らかとなっていない。そこで、本研究では、従来の遺伝学や生化学的解析に加え、ライブセルイメージング法やin vitro再構築系の確立を行うことで微小管切断装置を分子レベル・細胞レベルで理解することを目的とする。微小管切断因子であるカタニンは切断活性を持つp60サブユニット、及び切断部位や活性を制御するp80サブユニットで構成される。表層微小管の時間的空間的な制御機構を明らかにするため、p80および関連タンパク質のカタニン局在への機能を調べる。計画3年目は海外での研究が不可能であったため、国内研究機関での研究が中心となった。観察用マーカーラインを整備し、表皮細胞でのp80sと微小管の動態解析、in vitro実験用のp60とp80タンパク質の準備、植物体チューブリン精製系の確立を行った。また、質量分析により植物チューブリンの翻訳後修飾解析とカタニン相互作用因子の同定を行い、同定されたアセチル化やリン酸化、相互作用因子が微小管切断機構や微小管配向制御にどのように寄与するか解析を行っている。
3: やや遅れている
海外での研究ができなかったため国内機関での研究が中心となった。計画研究に加え、動態解析や質量分析を行い新しいチューブリンの翻訳後修飾やカタニンの相互作用因子を同定した。
動的微小管を用いたin vitro再構成系の確立を行い、これまでに得られた微小管切断タンパク質p60サブユニット・p80サブユニットの微小管交差部位でのカタニン局在性への機能を調べる。光ピンセットにより交差された微小管へのカタニンタンパク質の局在性解析を行う。質量分析の結果得られたチューブリン翻訳後修飾やカタニン相互作用因子の微小管切断への影響を解析する。細胞層深部でのカタニンの動態観察を行い、微小管切断機能の解析を行う。
海外での研究ができなかったため国内機関での研究が中心となった。遂行できなかった実験の一部を次年度へ延期したために次年度使用額が生じた。次年度において研究計画で示した実験とともに延期した一部の実験や解析を追加して行う。海外での研究が可能になり次第渡航計画を立てるが、目処が立たない場合は補助事業期間延長承認申請を行う。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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