研究実績の概要 |
オスとメスの生殖細胞の核内動態を明らかにするために、核内構造を可視化できるトランスジェニックメダカが必要となる。代表者(西村)は、共同研究者のJean-ReneHyunh博士から分与されたベクター(pDest_AMA)を用いて、減数分裂時のシナプトネマ構造が可視化できるsycp3:EGFPトランスジェニックメダカの作出を試みた。sycp3遺伝子の翻訳開始点より上流約2キロとエキソン・イントロンを含めた遺伝子領域を増幅し、終始コドン直前にEGFPを挿入し、pDest_AMAベクターにクローニングした。作製したコンストラクトをメダカ1細胞期へインジェクションし、EGFP蛍光を指標に胚を選別・継代したところ、生殖腺で特異的にEGFPシグナルが検出可能なトランスジェニックメダカの作出に成功した。ライブイメージングの結果、減数分裂期生殖細胞の染色体上にSYCP3:EGFPタンパク質が局在していることを確認した。 分担者(田中)は、sycp3:EGFPトランスジェニックメダカの生殖腺に免疫組織化学的染色を施し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細にSYCP:EGFPの細胞内局在を調べた。その結果、第一減数分裂前期のleptotene期ではEGFPのシグナルが核に一様に見られたが、zygotene, pachytene期に進むと染色体上にEGFPの局在が見られた。これらの結果は、SYCP3タンパク質の局在を調査した先行研究の結果と一致しており、SYCP3:EGFPが内在性のSYCP3タンパク質と同様の局在パターンであることを示している。今後、sycp3:EGFPメダカ用いた高解像度ライブイメージングにより減数分裂期におけるオスとメスの生殖細胞の核内動態の解明が期待される。
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