研究課題
メスが寿命よりも数十年も早く繁殖を終えるという「閉経」は、これまでヒトとクジラ類でしか確認されたことのない非常に稀な進化しにくい形質で、ヒトでなぜ閉経が進化したかについては未だに解明されていない。ヒトに最も系統的に近いチンパンジー・ボノボにおいても、閉経の有無は未だに決着がついていない。本研究は、これまで長期継続調査を続けたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジーとコンゴ民主共和国ルオー科学保護区の野生ボノボを対象に、非侵襲的に収集する尿試料による性ホルモンの動態分析を行い、加齢による性生理の変化と閉経の有無について明らかにする。さらに、閉経の進化に関係する社会的・繁殖戦略的な要因、つまり、老齢メスの子どもの生存率や母親から子どもへのサポートによる孫世代の繁殖成功度の増加などについても調べ、大きな議論を呼んでいる「おばあさん仮設」の検証を行う。平成30年度においては、研究代表者の橋本がウガンダ共和国カリンズ森林保護区で野生チンパンジーを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を開始した。また、研究分担者の徳山がコンゴ民主共和国ルオー科学保護区で野生ボノボを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を開始した。さらに、橋本、徳山、分担者の宮部が犬山で今後の研究計画についての会議を行った。また、これまでに採取した尿試料についてのホルモン分析を行い、学術誌に投稿するための論文を準備中である。
2: おおむね順調に進展している
年度途中の採用であったが、年度末には、調査地(ウガンダ共和国カリンズ森林およびコンゴ民主共和国ルオー科学保護区)で調査を行い、現地での調査補助員によるホルモン試料収集と行動記録を開始できた。
年度途中の採用であったため、計画調書に書かれた計画より進行が遅れたが、年度末には現地調査を開始できた。引き続き計画を遂行していきたい。
年度途中の採択だったため、当初の計画すべてが遂行できなかったため。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 14件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
J Med Primatol
巻: 48 ページ: 137-140
doi: 10.1111/jmp.12394
Pan Africa News
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
巻: 25 ページ: 5-7
DOI: 10.5134/236294
Sci Rep.
巻: 8 ページ: 15981
doi: 10.1038/s41598-018-34425-4
International Journal of Primatology
巻: 39 ページ: 685-704
https://doi.org/10.1007/s10764-018-0058-2
Royal Society open science
巻: 5 ページ: 171006
doi: 10.1098/rsos.171006
巻: 25 ページ: 22-24
DOI: 10.5134/236291