研究課題/領域番号 |
18KK0204
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
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研究分担者 |
宮部 貴子 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (10437288)
徳山 奈帆子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(SPD) (60779156)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | チンパンジー / ボノボ / 閉経 / おばあさん仮説 / 老齢メス / 繁殖成功度 |
研究実績の概要 |
メスが寿命よりも数十年も早く繁殖を終えるという「閉経」は、これまでヒトとクジラ類でしか確認されたことのない非常に稀な進化しにくい形質で、ヒトでなぜ閉経が進化したかについては未だに解明されていない。ヒトに最も系統的に近いチンパンジー・ボノボにおいても、閉経の有無は未だに決着がついていない。本研究は、これまで長期継続調査を続けたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジーとコンゴ民主共和国ルオー科学保護区の野生ボノボを対象に、非侵襲的に収集する尿試料による性ホルモンの動態分析を行い、加齢による性生理の変化と閉経の有無について明らかにする。さらに、閉経の進化に関係する社会的・繁殖戦略的な要因、つまり、老齢メスの子どもの生存率や母親から子どもへのサポートによる孫世代の繁殖成功度の増加などについても調べ、大きな議論を呼んでいる「おばあさん仮設」の検証を行う。平成31年度においては、研究代表者の橋本がウガンダ共和国カリンズ森林保護区で野生チンパンジーを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。また、研究代表者の橋本と研究分担者の徳山がコンゴ民主共和国ルオー科学保護区で野生ボノボを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。さらに、分担者の宮部と研究協力者の毛利がホルモン試料の分析について実験を開始した。また、これまでに採取した尿試料についてのホルモン分析を行い、学術誌に投稿するための論文を準備・投稿を行い、学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、ウガンダ共和国カリンズ森林での野生チンパンジーの調査と試料収集、コンゴ民主共和国ワンバ地区での野生ボノボの調査と試料収集を順調に行うことができた。また、ホルモン分析についても実験を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスのため、2020年3月末で、両研究地で日本人研究者による調査は中断されている。コンゴでは現地調査補助員が観察、試料収集は続けている。ウガンダではウガンダ政府の方針により現地調査補助員の観察、試料収集も中断しているが、現地とは常に連絡をとっており、ウガンダ政府の方針に従いながら、可能になった時点で調査を再開する。また、新型コロナウイルスの感染の問題がなくなった時点で、日本人研究者による研究も再開したい。すでに収集したホルモン試料の分析を進めると共に、過去の発情のデータや出産などのデータ分析も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスのため、3月の調査を中止したため。
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