研究分担者 |
齋藤 寛 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, グループ長 (00259996)
田島 木綿子 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (00450635)
保坂 健太郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10509417)
井手 竜也 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (80724038)
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研究実績の概要 |
本研究課題では,国立科学博物館とミャンマー森林研究所との国際共同研究として,いまだ未知領域に留まるミャンマーの動植物・菌類の種多様性の解明を加速的に進展させ,最新手法を用いたインベントリーを共同実施することで,共同研究体制の基盤を確立することを目的としている。 令和4年度は,現地調査を再開し,ベンガル湾および湾岸域のアラカン山脈南端部において, 維管束植物, 海棲無脊椎動物,菌類などの調査をミャンマー森林研究所との共同研究として実施し, 維管束植物120点,海棲無脊椎動物75点, 菌類34点の標本を採集した。 その結果,種子植物では, クズウコン科の新属・新種Myanmaranthus roseiflorusを発表した。また,ラン科ボウラン属の新種Luisia verrucosa,ポパ山からセッコク属の新種Dendrobium popaenseを記載した。担子菌類では,これまでに収集した標本からGastrum courtecuisseiおよびPhallus merulinusの2種について, 前者はミャンマーと南米,後者は,熱帯・亜熱帯地域に広域分布していることが示唆され,論文として発表した。 昆虫では, 西部チン州からタマバチ科ナラタマバチ族の一種を初めて記録したほか,新たにアラカン山脈からブナ科シイ属の植物に形成した虫えい(ゴール)から採集されたタマバチ科について, 成虫形態および分子系統解析の結果, イソウロウタマバチ族のSynergus属に属する新種であることが判明した。 さらに,前年度に制作した種子植物および菌類の標本管理についての約1時間のe-ラーニング動画をミャンマー天然資源省森林局のミャンマー森林研究所および生物保護課に所属する職員に対して受講生を募集し, 野生生物の保全や国立公園の管理, 標本管理を担当する27名の職員に対してe-ラーニングを配信した。
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