研究課題
生後の脳において神経幹細胞から生まれる新生ニューロンは、脳機能の維持および脳傷害後の神経再生・機能回復に関わっている。研究代表者らはこれまでに、様々なモデル動物を用いて、正常脳および傷害脳における新生ニューロンの移動メカニズムおよび周囲の細胞との相互作用を明らかにしてきた。本課題は、海外の研究室と共同で、移動する新生ニューロンと周囲の細胞の接着および細胞形態変化のメカニズムと、その意義を明らかにすることを目的としている。さらに、研究代表者の研究室に所属する若手研究者を参画させ、国際的に活躍できる研究者として養成する。本年度は、主に以下の研究を実施した。(1)正常脳における新生ニューロンの接着の解析:脳内を移動するニューロン同士の接着状態について、バレンシア大学のGarcia-Verdugo教授と共同で解析を行った。連続ブロック表面走査電子顕微鏡(SBF-SEM)による3次元解析を生理学研究所で行った。(2) 新生ニューロンの先導突起・一次繊毛の解析:移動する新生ニューロンの先導突起や一次繊毛など移動に重要な構造物の微細構造について、バレンシア大学のGarcia-Verdugo教授と共同で解析を行った。(3) 神経幹細胞の分化調節因子の解析:病態モデルにおける脳室下帯の幹細胞ニッチの微細構造及び細胞間相互作用をバレンシア大学のGarcia-Verdugo教授と共同で解析した。分化調節因子等の遺伝子発現についてコペンハーゲン大学のKhodosevich准教授らと共同で解析した。
2: おおむね順調に進展している
バレンシア大学およびコペンハーゲン大学との共同研究が順調に進み、電子顕微鏡やシングルセルRNA-seqによる解析で成果が得られたため。
引き続き、名古屋市立大学及び生理学研究所において研究を進めるとともに、電子顕微鏡解析をバレンシア大学、遺伝子発現解析をコペンハーゲン大学の共同研究者と連携して行う予定である。新型コロナウイルスによる制限のため海外出張ができない可能性が懸念される。そのような場合、メールやウェブ会議で打ち合わせをするとともに、データやサンプルを送付するなどの方法により、国際共同研究を遂行する。研究代表者である澤本は研究全体の統括・論文作成等を担当し、研究分担者である金子及び澤田はマウスを用いた実験等を担当する。
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すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 9件) 備考 (1件)
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巻: なし ページ: bhaa031
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http://k-sawamoto.com/