研究課題/領域番号 |
18KK0215
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (80270479)
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研究分担者 |
谷本 昌志 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 助教 (30608716)
木村 有希子 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 助教 (70581122)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / ゼブラフィッシュ / イメージング / 内耳前庭器官 / 神経回路 |
研究実績の概要 |
姿勢制御を担う神経回路を同定し、その動作原理を明らかにするために、海外の共同研究者とオンライン、および、現地を直接訪問して議論を行い、傾斜刺激中にゼブラフィッシュ仔魚ニューロン群のカルシウムイメージングを可能にするカスタム顕微鏡の設計・構築、および遺伝子組換え魚の準備・作成を行った。遺伝子組換え系統はそれぞれ、頭部の傾きを受容する内耳前庭器官の有毛細胞や、そこから前庭情報を脳へ伝達する前庭神経節ニューロン、前庭情報を受容し適切な運動指令を脊髄へ送る前庭脊髄路ニューロンや網様体脊髄路ニューロンにカルシウム指示蛍光タンパク質を発現するものを準備・作成した。カスタム顕微鏡は、電動回転ステージにミラー・対物レンズ・試料保持台等の光学部品を取り付け、チューブレンズ・ニポウディスク式共焦点スキャナユニットおよびsCMOSカメラと接続して構築し、これにより仔魚に傾斜刺激を与えながらニューロン活動を撮像することが可能になった。また、ステージの回転によって生じる光路の歪みに伴う画像のアーティファクトの問題を低減するために、2波長分離投影装置を挿入してカルシウム指示蛍光タンパク質(緑色)とカルシウム非感受性の蛍光タンパク質(赤色)の蛍光を同時取得し、個々のニューロンにおいてそれらの比を算出することで真のカルシウム応答を可視化する基本的なシステムを構築することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
傾斜刺激中にカルシウムイメージングを行うカスタム顕微鏡の構築に成功しており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築したイメージングシステムには、カルシウム指示蛍光タンパク質(緑色)とカルシウム非感受性の蛍光タンパク質(赤色)の間のクロストークによってそれらの比が低減してしまう問題が残されているため、海外の共同研究者と協力して最適な種類の蛍光タンパク質を選抜して改善を試みる。 改良したシステムを用いて、頭部の傾きを受容する内耳前庭器官の有毛細胞、そこから前庭情報を脳へ伝達する前庭神経節ニューロン、前庭情報を受容し適切な運動指令を脊髄へ送る前庭脊髄路ニューロンや網様体脊髄路ニューロンが、どのような頭部の傾きに対して活動するのかを単一細胞レベルのカルシウムイメージングで調べる。 さらに、ニューロン活動と姿勢制御行動との関係を調べるため、傾斜刺激中のゼブラフィッシュ仔魚の姿勢制御行動を高速度カメラで撮影する。また、活動が見られたニューロンをフェムト秒パルスレーザーで破壊して行動への影響を調べ、前庭神経回路の活動と姿勢制御行動との因果関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ関連で、海外への長期出張がとりやめとなったため、次年度使用額が生じた。 今後、コロナの状況をにらみながら、出張を計画し、出張が難しい場合は、国内で研究を進めることで、残額を使用していく。
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