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2021 年度 実施状況報告書

3大陸横断型のウイルス性人獣共通感染症の調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0225
研究機関東京大学

研究代表者

河岡 義裕  東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (70135838)

研究分担者 渡辺 登喜子  大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60557479)
岩附 研子  東京大学, 医科学研究所, 助教 (20376619) [辞退]
山田 晋弥  東京大学, 医科学研究所, 助教 (90466839) [辞退]
植木 紘史  東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (70794907)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2023-03-31
キーワードウイルス / 人獣共通感染症 / 野生動物
研究実績の概要

地球レベルでの環境変化や野生動物との生活圏域の近接化により、新興感染症となりうる人獣共通感染症が、ヒト社会に侵入する可能性は増大している。最近の研究から、アフリカ、南米、アジア等の国々が、人獣共通感染症が発生しやすいホットスポットであると予測されているが、その実態は未だ不明である。そこで本研究では、アフリカのシエラレオネ、南米のボリビア、東南アジアのインドネシアにおいて、人獣共通感染症を引き起こすウイルスの流行状況を把握するために、海外共同研究者と連携して、ヒトや野生動物における血清学的調査、および野生動物が保有するウイルスの分離・同定を行う。
本研究では、アフリカ・シエラレオネの共同研究者であるシエラレオネ大学のAlhaji n’jai博士の協力のもと、シエラレオネのコウモリが保有するコロナウイルスの解析を行なった。まず、バイオインフォマティクス解析によって、コロナウイルス遺伝子を包括的に検出するための39種類の縮重プライマーペアを設計した。これらのプライマーペアを用いて、RT-PCRの条件設定を行ない、最適なプライマー濃度、アニーリング温度、PCR酵素を決定した。最適化した条件下で、アルファコロナウイルスであるHCoV-229E、ベータコロナウイルスである新型コロナウイルスから抽出したRNAを用いてRT-PCRを行ったところ、目的のサイズである400から450bp付近にバンドを検出した。続いて、シエラレオネで採取したコウモリ臓器から抽出したRNAを用いて、コロナウイルスゲノムの検出を試みた。その結果、コウモリ26頭中1頭の腸管から、アルファコロナウイルスの遺伝子配列を検出した。現在、次世代シークエンスによる解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、アフリカ・シエラレオネの首都フリータウン市において、ヒトや野生動物でのウイルス感染症の流行状況を明らかにすることを目的としている。我々はこれまでに、現地の医療機関や保健省などを訪問し、協力研究者との研究打ち合わせを行い、ヒトにおけるウイルス感染症の流行状況を調べるための血清学的調査の実施を可能とした。今年度は新型コロナの影響により、予定していた海外出張が中止となり、新規のサンプル採取を実施することができなかった。そのため本研究課題の進捗はやや遅れていると言える。本年度は、これまでに採取したコウモリサンプルを用いて、コウモリコロナウイルスの探索を実施したところ、アルファコロナウイルスの遺伝子を検出した。

今後の研究の推進方策

新型コロナの影響により、しばらくの間は、アフリカや南米への出張は困難と思われる。したがって、これまでに採取したヒトの血清や野生動物のサンプルを用いて研究を進める。様々なウイルスに対する抗体スクリーニングを行い、シエラレオネにおけるウイルス感染症の流行状況を調べる。また、これまでに採取したコウモリの臓器サンプルからRNAを抽出し、次世代シークエンスを行い、ウイルス遺伝子の検索を行うことによって、コウモリが保有するウイルスを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は、本研究課題に従事する数名の研究者をアフリカ・シエラレオネへ派遣する予定だったが、新型コロナの影響により、中止せざるを得なかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、採取したサンプルの血清学的解析や次世代シークエンス解析等に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] シエラレオネ大学(シエラレオネ)

    • 国名
      シエラレオネ
    • 外国機関名
      シエラレオネ大学
  • [国際共同研究] ウイスコンシン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ウイスコンシン大学
  • [学会発表] 縮重プライマーを用いたRT-PCR法による、コロナウイルス遺伝子検出系の確立2021

    • 著者名/発表者名
      七戸新太郎、高田光輔、Pascal Hingamp、冨田有里子、前村忠、Alhaji U. N'jai、河岡義裕、 遠藤寿、緒方博之、渡辺登喜子
    • 学会等名
      第68回日本ウイルス学会学術集会
  • [備考] 東京大学医科学研究所 ウイルス感染部門

    • URL

      http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/virology/

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公開日: 2022-12-28  

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