研究課題/領域番号 |
18KK0227
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊勢 渉 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (70323483)
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研究分担者 |
安達 悠 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (40749016)
黒崎 知博 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授(常勤) (50178125)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | プラズマ細胞 / 生存 / 寿命 / イメージング / niche |
研究実績の概要 |
1)長寿命プラズマ細胞のマーカーの同定 NP特異的B細胞をマウスに移入し、NP-CGG免疫で誘導される骨髄プラズマ細胞の表現型を調べた。その結果免疫早期に骨髄に検出されるプラズマ細胞がB220hiMHC-IIhiの表現型を示すのに対し、1か月以上骨髄で生存したプラズマ細胞はB220loMHC-IIloの表現型を示した。次にB220loMHC-IIloプラズマ細胞を分離し移入したところ、B220hiMHC-IIhiプラズマ細胞とは異なり、骨髄に定着し長期生存を果たすことが判明した。以上より長寿プラズマ細胞はB220loMHC-IIlo分画に含まれることが明らかとなった。また前年度Blimp-1-ERT2cre x Rosa-LSL-tdTomatoマウスを用いて行ったRNAシークエンス解析の結果から、ある遺伝子が1か月以上骨髄で生存した寿命プラズマ細胞に高発現することが判明した。この遺伝子のレポーターマウスを利用し、骨髄プラズマ細胞におけるレポーターの発現を観察したところ、B220lo分画に発現が見られることが判明した。これよりこの遺伝子は長寿プラズマ細胞の新規マーカーになる可能性が示唆された。 2)骨髄プラズマ細胞のライブイメージング解析 シンガポール免疫ネットワークにて、Dr. Ngとともに骨髄プラズマ細胞のライブイメージングを行った。すなわちBlimp-1-ERT2cre x Rosa-LSL-tdTomatoマウスにタモキシフェンを投与し、全てのプラズマ細胞をラベルした後に頭頂骨内に存在するプラズマ細胞を二光子顕微鏡にて観察することに成功した。またNP特異的B細胞(Blimp-1-ERT2cre x Rosa-LSL-tdTomatoマウス由来)の移入系においても、移入細胞由来プラズマ細胞のライブイメージングが可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンガポール免疫ネットワークと現地で行った共同研究が成功し、骨髄内プラズマ細胞のライブイメージングをうまく立ち上げることができた。一方、新型コロナウイルスの感染拡大により今年度二回目のシンガポールにおける実験を遂行することができなかった。しかしシンガポールで習得した技術を生かし、国内でプラズマ細胞のイメージングを行うことが可能となったので、研究を順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)骨髄内プラズマ細胞のイメージング解析系を樹立することができたので、今後は長寿命プラズマ細胞の動態が、短寿命(未成熟)プラズマ細胞の動態とどのように異なるのかを二光子顕微鏡を用いたライブイメージングにより解析していく。また生存を支えるnicheを構成する重要な細胞の同定も試みる。そのために骨髄ストローマ細胞のレポーターを用いた解析に加え、骨髄内に存在するミエロイド系細胞(CD11b+やCD11c+細胞)や制御性T細胞(Foxp3+細胞)の除去を行い、それが骨髄内プラズマ細胞の生存に与える影響について解析する。 2)長寿命プラズマ細胞の新たなマーカーとなる可能性がある分子については、そのノックアウトマウスなどを用いてその機能を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により当該年度二回目のシンガポールへの渡航と現地での共同研究が中止になったため。次年度はこれを物品・消耗品購入に充てる。
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