研究課題
リポ多糖に応じて活性化する自然免疫機構であるNon-canonicalインフラマソームを介した炎症応答は、細菌を排除する役割を果たす一方で、過度に誘導されてエンドトキシンショックを引き起こす負の側面も有している。本研究では以下(1-2)の解析を行い、当該機構について分子から生体に至る幅広い観点から理解を深め、当該機構を標的とする治療法の開発に資する基盤的研究を推進する。(1)生理活性脂質がNon-canonicalインフラマソームを抑制する機序を分子レベルで解明する。続いて、(2)当該脂質の産生に関わる刺激・細胞を同定し、生体レベルにおいて炎症応答を抑制する機序を解明する。R2年度は(1)Live cell imaging for secretion activity (LCI-S)技術を駆使して、Non-canonicalインフラマソームが活性化した際にどのように炎症応答が起きるのかを可視化した。LCI-S解析から、LPSによるNon-canonicalインフラマソームの活性化に応じて細胞の膨張が起こること、Non-canonicalインフラマソームを介して誘導されるIL-1alphaは細胞膜上の特定のゾーンから放出されることを明らかにした。この結果は、Gasdermin Dが細胞膜にポアを形成し、細胞死やIL-1放出を誘導するとする過去の仮説を裏付けるものである。また、(2)のプロジェクトに関して、LPS刺激したマクロファージから、NLRP3インフラマソーム依存的に15d-PGJ2が放出されることを確認した。この結果は、PGJ2がNon-canonicalインフラマソームの活性化に対するネガティブフィードバック機構として働く可能性を示している。
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