研究課題/領域番号 |
18KK0244
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯島 一誠 神戸大学, 医学研究科, 教授 (00240854)
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研究分担者 |
人見 祐基 星薬科大学, 薬学部, 特任講師 (10525819)
堀之内 智子 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (30754593)
長野 智那 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (60814316)
野津 寛大 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (70362796)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 腎臓学 |
研究実績の概要 |
本年度は、我々が日本人ステロイド感受性ネフローゼ症候群(SSNS)のGWASで同定したNPHS1とTNFSF15領域の複数のバリアントを、韓国や欧米の研究グループの協力を得て、韓国人、南アジア人、アフリカ人、欧州人、ヒスパニック人、マグリブ人(北西アフリカ人)の小児SSNS患者(計1,063人)とそれぞれの民族に対応する健常成人(計19,729人)を対象に、replication study及び trans-ethnic meta-analysisで確認し、機能解析も行った研究を論文化し、腎臓領域のtop journalであるKidney Int.に投稿、採択された。本研究は、希少なメンデル遺伝病であるフィンランド型先天性ネフローゼ症候群の病因遺伝子NPHS1が、小児腎疾患で最も頻度の高い多因子疾患であるステロイド感受性ネフローゼ症候群の疾患感受性遺伝子でもあることを明らかにしたものであり、SSNSの遺伝学における重要なマイルストーンであり、腎臓病学におけるパラダイムシフトとなる研究である。 さらに、本年度、我々は、韓国人検体のタイピング及びGWASを完了し、既に完了している日本人タイピングデータ、及び米国及びヨーロッパのタイピングデータを統合した国際GWASメタ解析を実施中したが、この解析により、NPHS1とTNFSF15領域以外の新たなSSNS疾患感受性領域を複数検出し、現在、その詳細について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりも大規模な国際共同研究に発展し、HLAクラスII以外の小児SSNSの疾患感受性遺伝子として、NPHS1とTNFSF15が小児のSSNSの疾患感受性遺伝子であることを世界で初めて明らかにし、腎臓領域のtop journalに掲載した。特に、希少なメンデル遺伝病であるフィンランド型先天性ネフローゼ症候群の病因遺伝子NPHS1が、小児腎疾患で最も頻度の高い多因子疾患であるSSNSの疾患感受性遺伝子でもあることを明らかにしたことは遺伝学的にも腎臓学的にも非常に重要な発見であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、日本人タイピングデータ、韓国人タイピングデータ及び米国及びヨーロッパのタイピングデータを統合した国際GWASメタ解析を実施中であり、今年度中に、その成果を論文化し、国際誌で公表したいと考えている。また、日本人、韓国人では、ステロイド抵抗性ではあるが免疫抑制薬に反応して寛解となった症例の検体も収集しているので、ステロイド抵抗性vs. ステロイド感受性のGWASを実施し、ステロイド抵抗性に関与するバリアントの同定も試みる予定である。
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