研究課題
研究代表者・研究分担者らが生理的に重要な尿酸輸送体であることを見出したATP-binding cassette transporter G2 (ABCG2) は、その機能低下が高尿酸血症および痛風のリスクとなることが知られている。ところが、これらの疾患のリスクの全てを既知のABCG2の遺伝子多型・遺伝子変異のみで説明することは難しく、尿酸動態の全容を理解するためにも、さらなる研究が必要である。このような背景のもと、本研究は、ABCG2遺伝子の多様性についてさらに研究を進めるとともに、機能低下を伴うABCG2の遺伝子多型・遺伝子変異が認められない痛風・高尿酸血症例に着目し、存在が確実視されるもその分子実体が未だ明らかとされていない新規尿酸輸送体(トランスポーター)―未知の痛風・高尿酸血症病因遺伝子を探索することを目的として企画された。本研究では、該当症例を数多く保有するチェコ共和国のグループとの共同研究を行う。本研究を通じて、これまでの国際共同研究基盤のさらなる強化と国際的ネットワークの拡大も期待される。研究開始初年度にあたる本年度(平成30年度)には、以下の点を明らかにすることができた。●チェコ共和国との国際共同研究の結果、痛風患者および高尿酸血症患者にABCG2の新たな遺伝子変異を見い出した。さらに、尿酸輸送に関する詳細な機能解析を行い、見い出された変異がABCG2の機能低下を生じることを示すことができた。
2: おおむね順調に進展している
チェコ共和国との共同研究の結果、痛風患者および高尿酸血症患者にABCG2の新たな遺伝子変異を見い出し、見い出された変異がABCG2の機能低下を生じることを示すことができたため。
研究2年度目にあたる次年度(平成31年度)には、新規尿酸輸送体の発見を目指し、さらなる検討を進めていく。
本研究が年度途中からの開始であったため、研究計画を予定通りの規模で進めることが困難であったため。また、外国への出張についても、日程調整が困難であったため。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 7件) 図書 (3件) 備考 (1件)
Cells.
巻: 8(4) ページ: E363
10.3390/cells8040363.
Front Pharmacol.
巻: 10 ページ: 208
10.3389/fphar.2019.00208.
Molecules.
巻: 23(11) ページ: E2837
10.3390/molecules23112837.
Sci Rep.
巻: 8(1) ページ: 11147
10.1038/s41598-018-29208-w.
http://plaza.umin.ac.jp/~todaiyak/t_takada.php