研究課題/領域番号 |
18KK0252
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷口 英樹 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70292555)
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研究分担者 |
村田 聡一郎 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40436275)
鄭 允文 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (80404995)
聶 運中 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (00831330) [辞退]
久世 祥己 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (70837806)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | iPS細胞 / カニクイザル / 肝硬変 |
研究実績の概要 |
肝硬変は様々な原因で発症する慢性肝疾患の終末像であり、肝移植以外に根治療法がない。肝硬変患者は国内に数十万存在し、毎年肝不全等で1万7000人程度が亡くなっているが、圧倒的なドナー不足の状態である。カニクイザルは肝臓の構造がヒトに類似しているため前臨床試験の有用性が極めて高いが、安定的な入手が困難である。中国の中山大学ではカニクイザルを数万頭飼育する施設が存在し、国際共同研究によってサルを有効活用できる大きなメリットがある。本研究ではカニクイザルの短期間肝硬変誘導モデルを作製し、肝硬変モデルにおいて安全に肝臓の漿膜剥離および肝表面への細胞移植可能な手術手技を確立する。カニクイザルiPS細胞を樹立し、我々が以前より開発しているiPS細胞由来肝芽の作製を試みる。同種のiPS細胞由来肝芽を用いた肝硬変治療効果を検討し、今後の臨床応用を加速させる。 これまでのカニクイザルを用いた肝線維化モデルでは長期間の薬剤投与を必要とした。本研究では、中山大学との共同研究により短期間で臨床的な肝硬変に近似したカニクイザル肝硬変モデルを作製する手法を確立することを目標とした。今年度はTAAを用いた短期間での肝硬変導入手法を検討する為、中山大学の研究者とプロトコールの打ち合わせとサルの調達を行い、日中共通のプロトコールで肝線維化モデルを作製した。TAA8~12週投与によりカニクイザル肝硬変モデルの構築に成功した。 またカニクイザルiPS細胞を用いて、我々が以前より開発しているiPS細胞由来肝芽の作製を試みた。具体的にはカニクイザルiPS細胞から肝内胚葉細胞、血管内皮細胞、間葉系細胞等への分化誘導法を確立し、3種の細胞の混合培養によりカニクイザルiPS細胞由来肝芽の作製を行った。作製したカニクイザルiPS細胞由来肝芽はアルブミン分泌能を有し、肝臓表面への移植に適したディスク形状に調整可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国の中山大学の研究者とカニクイザル肝硬変プロトコールを打ち合わせ、日中で共通のプロトコールを用いて肝線維化誘導実験を行った。また、カニクイザルiPS細胞から肝臓の内胚葉細胞、血管内皮細胞、間葉系細胞の分化誘導にも成功し、ヒトiPS細胞由来肝芽とほぼ同様の形態を有するカニクイザル肝芽の作製にも成功した。今後は、カニクイザル肝芽の同種移植による肝硬変治療効果の検討を日中で進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
カニクイザル肝硬変モデルへの組織移植を行っていくに当たって、適切な免疫抑制剤量の顕等を行う。また、肝硬変モデルの肝臓表面に安全に組織移植が可能な手技の検証を行う。中山大学から研究者を招聘し、カニクイザルiPS細胞からの肝芽作製方法を共同開発する。カニクイザルiPS細胞から作製した肝芽を同種の肝硬変モデルに移植して治療効果を検討予定であるが、昨今のCOVID19の影響で、実際に中国に細胞を持ち込んで移植する事は難しい可能性がある。そのため、日本に招聘した中国の研究者と日本国内で移植実験等の共同研究を遂行することや、中国の研究者とon lineで会議を行う等の対策により研究の推進を計る予定である。
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