研究課題/領域番号 |
18KK0262
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 純子 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70155266)
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研究分担者 |
高橋 陵宇 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (10625510)
秋田 智之 広島大学, 医系科学研究科(医), 講師 (80609925)
杉山 文 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50778280)
大久 真幸 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (20727250)
永島 慎太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (60846898)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | B型肝炎ウイルス(HBV) / 母子感染 / 妊婦 / HBVワクチン効果評価 / サーベイランスシステム |
研究実績の概要 |
本研究では、これまでの国際共同疫学研究実績を基盤とし、共同研究者(カンボジア保健省、WHO、他)とともにカンボジア・シェムリアップ地区の協力病院(3施設)において、妊婦およびその出生児を対象とした血清疫学調査を実施した(妊婦検診時・出産時臍帯・出生6か月児への採血。2020年2月-2021年12月)。乾燥濾紙血法(Dried blood spots: DBS, HemaSpotTM)による低侵襲・迅速簡便な検体収集を併用することで、開発途上国で遺伝子解析を含む疫学調査にDBSが有用である可能性を明らかにした。 1,565人の妊婦(平均年齢は28.3±5.6歳)が本調査に参加し、HBs抗原陽性率は4.3%(95%信頼区間:3.4-5.4%)であった。多変量解析の結果、HBワクチン接種歴がHBs抗原陽性に関連する独立した有意な因子であり、調整オッズ比は4.4倍(1.4-14.5)であった。HBs抗原陽性者(N=67)のうちHBe抗原陽性率は41.8%であった。Realtime PCR, NestedPCR, サンガーシーケンシングによる遺伝子解析を行った結果、遺伝子型を判別できたのは37株であり、C1が70.3%と最多、次いでB4(16.2%)、B2(13.5%)であった。HBs抗原陽性の妊婦から出生した児のうち35人が出生後6か月時点の調査に参加し、そのうち1人(妊娠39週に帝王切開にて出生、24時間以内のHBワクチンと3回の追加接種およびHBIG投与)がHBs抗原陽性であった(HBV母子感染成立率2.9%、0.5-14.5%)。 本研究では、カンボジアの妊婦におけるHBV感染の流行レベル、遺伝子型の分布、およびHBV母子感染率を明らかにした。これらの調査結果は、カンボジアにおけるHBV感染排除の戦略立案に資する基礎資料として同国保健省およびWHOと共有されている。
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