研究課題/領域番号 |
18KK0267
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
黒田 嘉紀 宮崎大学, 医学部, 教授 (50234620)
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研究分担者 |
矢野 靖典 宮崎大学, 国際連携機構, 助教 (00574188)
丸山 真杉 宮崎大学, 医学部, 教授 (40173968) [辞退]
菱川 善隆 宮崎大学, 医学部, 教授 (60304276)
日野浦 拓之 宮崎大学, 医学部, 講師 (90801168)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2025-03-31
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キーワード | ミャンマー / 出生コホート調査 / ヒ素汚染 |
研究実績の概要 |
ミャンマーでもコロナ感染が拡大するとともに、軍事クーデターが勃発し政情不安が続いたため、2019年度末から2022年度は予定通りの調査は行えなかった。しかしミャンマーの協力機関であるDMR(Department of Medical Research)の協力のもとに200名弱の妊婦をリクルートし、現在約200名弱の小児を追跡調査調査中である。 令和5年は、ミャンマー国内の政情はそれまで一旦落ち着きを見せていたが、民主派勢力と国軍の軍事衝突が激化し、研究者がミャンマーに渡航できない状態となり、調査は一旦中止になった。しかし、現地協力機関DMRの協力のもと、現地スタッフによる第4回の調査が行えた。これまでの結果より、1)母親が使用する井戸水のヒ素濃度と死産・流産リスクおよび低出生体重リスクとの有意な関係は観察できなかった。2)2歳児において、使用する井戸水のヒ素濃度と体重とに有意な負の相関関係が見られた。この関係は年齢を調整しても有意であり、身長との関係は検出できなかったが、ヒ素曝露が小児の成長に影響する可能性を示唆する可能性を得たと考えている。一方、3歳から4歳児が対象である第4回の調査からは、2歳児までのヒ素曝露による体重増加への負の影響は検出できなかった。そこで、ミャンマー国内の政情が安定し、安全に調査が行える状況になれば、対象数を増やして調査を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ミャンマーで令和3年に軍事クーデターが発生し、令和5年も政情不安と混乱は継続し、本研究調査は計画通り行えていない。令和5年は一時、軍政のもと政情が落ち着きを取り戻したかに見えたが、再び軍事政府と民主派勢力の軍事衝突がミャンマー地方域で令和5年暮れ頃から再度激化した。そのため、本研究調査は計画通り行えていない。現在200名弱の小児を追跡しており、令和5年初旬に、現地スタッフによる第4回の調査は行えたが、上記のような状況から計画通りには行えていないため、”遅れている”状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在ミャンマーは軍事政府と民主派勢力が各地で軍事衝突し、多くの住民が犠牲となっている。最近は戦闘地域が徐々に首都のネピドーあるいは大都市ヤンゴンに近づいてきている状況であり、調査が行えるかは、今後の政情いかんによるところが大きい。現在も現地協力機関DMRとの協力関係は維持しているが、不確定要素が大きく、研究の推進方策を決めかねている状況である。 現在は、政情が安定し日本の関係者が渡航でき、調査を行える状況になった時に備え、DMRと調整し待機中である。政情が安定し、調査が再開できれば、1)これまで追跡した200名弱の対象者を引き続き追跡調査する。2)新たに500名の妊婦をリクルートし調査対象者に追加する、予定である。また、現地スタッフによる第5回の調査が行なえないか検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在ミャンマーは軍事政権と民主派が軍事衝突を繰り返し、政情が不安定である。そのため計画通り調査が行えない状況である。そのため計画は遅れており、次年度使用額が発生することとなった。
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