研究課題/領域番号 |
18KK0268
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
島 正之 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40226197)
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研究分担者 |
余田 佳子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80748434)
足立 祥 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (30827001)
中坪 良平 (財)ひょうご環境創造協会(兵庫県環境研究センター), 兵庫県環境研究センター大気環境科, 研究員(移行) (60463329)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 空気清浄機 / 慢性閉塞性肺疾患 / 健康影響 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
中国では微小粒子状物質(PM2.5)及びオゾン(O3)等による深刻な大気汚染が持続しており、住民の健康への影響が懸念されている。。特に、呼吸器疾患患者は大気汚染の影響を受けやすいことから、その対策は急務である。近年は大気汚染対策として、空気清浄機を使用する家庭が増加しつつあるが、空気清浄機の使用による健康影響改善の効果については十分に明らかにされていない。本研究では、中国の北京市において空気清浄機使用の効果を評価するためのクロスオーバー介入研究を計画し、本年度は北京大学公共衛生学院及び同大学第三病院呼吸器科の研究者と研究計画についての打合せと予備試験を実施した。 研究対象は、北京在住の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者とし、同じ対象者について、大気中のPM2.5が高濃度となる冬季(11~3月)と、O3が高濃度となる夏季(6~9月)の年2回実施することとした。対象者は無作為に2群に分け、A群は空気清浄機(フィルタを装着したもの)、B群は偽の空気清浄機(フィルタを外したもの)を各季節に2週間連続して家庭で使用してもらい、その後に1週間のウオッシュアウト期間を設け、次の2週間はA群とB群で空気清浄機を入れ替える。それぞれの調査期間中に、家屋内外の大気汚染物質濃度の測定とともに、健康影響の評価として、肺機能検査、バイオマーカーの検査、呼吸器症状の評価を繰り返して実施し、家屋内外の大気汚染物質濃度と健康指標との関連と、空気清浄器使用の有無による違いを評価する計画とした。また、本研究で使用する予定の測定機器と空気清浄機の性能等についての予備試験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は年度内に研究計画を確定し、2019年夏季より研究を開始する予定であったが、倫理審査委員会での承認を得るのに時間を要しているため、研究の開始時期を遅らせる必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
日本と中国の研究機関における倫理審査委員会に本研究計画を申請し、承認を受けた後に、北京市において対象者の募集を行い、2019年冬季(11月)より調査を開始する予定である。調査は、対象者の家屋内外におけるPM2.5をミニポンプを用いて1週間毎に捕集し、質量濃度と成分測定を実施する。また、屋内においてはリアルタイムモニターを用いてPM2.5濃度の連続測定も実施する。O3濃度はパッシブサンプラーを用いて屋内外で1週間毎に測定する。健康影響評価として、対象者には毎日2回、肺機能の自己測定を実施してもらい、週1回はスパイロメータを用いた肺機能検査と呼気中一酸化窒素濃度を測定する。また、各調査期間の前後に採血を行い、バイオマーカーの測定を行う予定である。これらの結果を用いて、家屋内外の大気汚染物質濃度と健康指標との関連と、空気清浄器使用の有無による違いを評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画について倫理審査委員会への申請、承認に時間を要しており、研究を本格的に開始するのが当初の予定よりも遅くなった。2019年度に倫理審査委員会の承認が得られ次第、対象者を募集して本格的な研究を開始する予定であり、翌年度分として請求した助成金と合わせて、使用する計画である。
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