研究課題/領域番号 |
18KK0269
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
岩井 美幸 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 研究員 (80723957)
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研究分担者 |
仲井 邦彦 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00291336)
中山 祥嗣 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 次長 (00368705)
小林 弥生 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (00391102)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 乳歯 / 元素 / 化学物質 / コホート調査 / バイオモニタリング / 環境保健 / エクスポゾーム / 金属 |
研究実績の概要 |
乳歯は、胎児期から少しずつ作られ、出生後およそ1年間に全ての乳歯の歯冠が完成する。その間、様々な化学物質が乳歯に取り込まれる。さらに、乳歯には新産線があり、その線を境に胎児期と出生後を判別することができ、経時的な化学物質の曝露を評価する上で重要な試料である。マウントサイナイ医科大学は、乳歯に取り込まれた元素を1週間単位の分解能で分析できる世界で唯一の機関である。 当該年度は、マウントサイナイ医科大学がある米国ニューヨークへ渡航し、乳歯分析技術を習得するとともに、乳歯分析のハイスループット化について協議した。およそ100件の乳歯の前処理をし、LA-ICPMS(レーザアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析装置)にて試験的な分析を実施した。精度管理について、マウントサイナイ医科大学で分析した試料を、再度国内で分析し、分析精度の比較を実施することとした。対象元素として精神神経発達への影響が報告されている鉛、カドミウム、マンガンおよび必須微量元素の亜鉛、銅とした。その他、バリウム、ストロンチウムおよびカルシウムの分析も実施した。乳歯中の水銀測定も実施したが、1週間単位の分解能では、十分な分析精度を確保するのが難しかった。測定元素とカルシウムとの比をとり、各元素の経時的な変化を確認し、マンガンとバリウムで出生前後の特徴的な変化を捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年10月より派遣先のマウントサイナイ医科大学で乳歯分析を進めることができたことから「おおむね順調に進展している」とした。しかしながら、マウントサイナイ医科大学はニューヨークにあり、新型コロナウイルスの感染数も多い地域であること、世界的な蔓延により、次年度、研究が順調に進むか大きな懸念がある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、次年度順調に進むか大きな懸念がある。およそ100件の乳歯について、LA-ICPMSによる分析の準備が整っている。米国ニューヨークでの新型コロナウイルスの収束後すぐに乳歯分析を開始する。派遣先の教授等と、在宅で可能なデータ解析や精度管理で使用するR言語の共有を年度はじめに行い、研究に遅れが生じないように最大限対応する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は雇用できる人材を確保できなかったため、未使用額が発生した。次年度の人材を確保し雇用する予定である。
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