研究課題/領域番号 |
18KK0273
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
海老原 章郎 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60415099)
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研究分担者 |
寺本 好邦 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40415716)
橋本 美涼 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80805424)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | プロレニン / 糖尿病 / 糖尿病合併症 / 臨床現場即時検査法 / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究は、糖尿病合併症の早期マーカーである血中プロレニンに着目し、糖尿病病態におけるプロレニンの生化学的な意義を日本、インド、バングラデシュの3カ国国際共同研究によって解明することを目指す。糖尿病合併症に対する予防医療に向けた具体的到達目標は、ユニバーサルデザイン性を備えた臨床現場即時検査法(Point-of-care testing; POCT)をプロレニンに対して開発することである。令和元年度は以下を実施した。 [1] POCTの開発 プロレニン標準品の安定供給系の確立を目的として、昨年度に続き、インド工科大学グワハティ校(IITG)に岐阜大学の学生を派遣し、酵母を用いた組換え型プロレニン生産系の研究を実施した。POCTの一つであるイムノクロマト法を採用し、高感度化に向けた最適条件の検討を行った。その結果、ヒト絨毛性ゴナドトロピンを対象として数百pg/mLで検出できる系を構築することができた。 [2] 糖尿病患者の病態と遺伝子多型(SNP)との相関解析 バングラデシュ人を対象として、高血圧ならびに糖尿病併発型高血圧に対し、高い危険因子なりうる複数のSNPをレニン遺伝子と(プロ)レニン受容体遺伝子の非コード領域に見出した論文を投稿した。研究代表者はバングラデシュ・ダッカ大学を訪問し、ダッカ大学で実施予定のSNP実験に関する意見交換を行うと共に、同大学で開催された国際会議において本研究課題に関連する講演を行った。 [3] 糖尿病患者の病態と血中プロレニン濃度との相関解析 プロレニンの病態生化学的意義を解明する一環として、生体内におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と酸化ストレスとの関連性に関する総説を出版した。IITG化学工学科の教員を岐阜大学に招聘し、データサイエンスを活用した実験データの解析法について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に向けた研究の準備ならびに研究遂行に向けた意見交換ができた。
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今後の研究の推進方策 |
岐阜大学、IITG、ダッカ大学の間で、学生および研究者の派遣と招聘を推進し、[1] POCTの開発、[2] 糖尿病患者の病態とSNPとの相関解析、[3] 糖尿病患者の病態と血中プロレニン濃度との相関解析について研究を実施する。我々が構築した酵素活性に基づく新たな酵素レニン定量法 [Akther et al. (2019) Heliyon 5 : e01409] を用いたプロレニン測定法や、今年度作成した新たな抗体を用いたプロレニンの検出を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ダッカ大学に導入予定の定量PCR装置について、本研究課題の予算範囲内に収まる機器を選定することができ、今年度秋に納入できた。この装置を用いた研究のための予算を確保しているが、次年度は同装置を用いたSNP研究を推進する。POCTの高感度実現のための基礎研究に今年度は集中した。プロレニンに対するPOCTの実装化を次年度に加速させる。
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