研究課題/領域番号 |
18KK0275
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田山 淳 長崎大学, 教育学部, 准教授 (10468324)
|
研究分担者 |
武岡 敦之 長崎大学, 保健・医療推進センター, 客員研究員 (10807051)
井ノ上 憲司 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 特任助教(常勤) (70542033)
小川 豊太 (濱口豊太) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80296186)
|
研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2021-03-31
|
キーワード | 過敏性腸症候群 / 低糖食療法 / 注意バイアス修正法 / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
本年度は,本研究に先立って,既存のシステム(以前研究者らが開発した介入システム)を利用してプレスタディを実施した。本年度行ったプレスタディでは、低糖食療法を取り入れたIBSのセルフケアとして,食認知変容プログラムの実施により、その効果メカニズムを腸内細菌の相対存在割合を指標として研究を行った。通常指導群8名,食認知変容プログラム実施群(通常指導に加えて低糖食療法をターゲットとした食認知修正プログラムを実施;強化介入群)10名を対象として,それぞれ1ヶ月間の介入を実施した。介入の結果,Dorea属の相対存在割合について,強化指導群の半数のサンプルでその相対存在割合が増加することが分かった。一方,通常指導群では,1サンプルのみの相対存在割合が顕著に低下したが,その他のサンプルでは変化はほとんど見られなかった。本研究の属レベルの相対存在割合の結果から,本介入はDoreaへの相対存在割合を増加させる可能性が示唆された。 ラクノスピラ科のDoreaは,マウスを用いた動物実験において,慢性のストレスとの関連が指摘されている菌種である。Doreaについて,人の生理現象に対する機能はほとんど知られていないが,先行研究で行われたLow FODMAP介入(McIntosh et al., 2016)では,Doreaの相対存在割合は統計的に有意に増加している。本研究におけるDoreaの変化理由としては,介入による食認知の変化によって食行動が改善したことによって,Doreaを含む腸内細菌の多様性が増加した可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題は,追加採択として平成31年2月に交付内定を受けたため,初年度の研究スタートが遅れた。しかしながら,プレスタディを行えたという実績が伴ったことで,研究の遅れは最低限度にとどまった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進については,次年度前半にはコンテンツの翻訳作業を実施する。協力者がドイツ語で作成したテキストは,医療制度等の記述が新たに加えられて作られているので,具体的にはドイツ語版の翻訳・逆翻訳作業をする。後半はeHealthシステム作成(日,独,英)と操作チェックをする。 次年度後半には,臨床試験を実施する。先に40名のリクルート(目標リクルート数)を行った後で介入を開始する。年度末にデータ解析を実施し,結果を共有する。 最終年度には論文作成と利便性検証を行う。具体的には,国内外の学会での意見交換を経て論文をブラッシュアップし,年度末に論文投稿をする。投稿後は,他者からの意見をまとめ,利便性の検証を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本課題は,追加採択として平成31年2月に交付内定を受けたため,初年度の研究スタートが遅れた。内定から年度末までの間に支出をおこなっていない理由は,研究代表者の転出が決まっていたため,備品・消耗品を異動先で購入した上で設置,利用するためである。今後の使用計画としては,当初の予定通り,初年度に計上していた全ての品目(検体保存用フリーザー,eHealthシステム構築費,翻訳料,腸内細菌解析ワークステーション等)に充当して使用する。
|