研究課題/領域番号 |
18KK0280
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
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研究分担者 |
松井 淑恵 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10510034)
Shehata Mohammad 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (60444197)
日根 恭子 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70625459)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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キーワード | チームフロー / ウェアラブルEEGシステム |
研究実績の概要 |
チームフローのダイナミクスを理解するために、チームフローの神経相関に基づいて、リアルタイムの神経評価システムを組み立てる必要があった。そのため、ウェアラブルEEGシステムの構築を行なった。その目的は (i) スポーツ、音楽制作、学習などの活動中に、チームフローのオンライン評価を提供すること、(ii) チームフロー以外の精神状態にアクセスするためのEEGシステムを、多くの環境に適応できるようコンパクトなシステムとして提供することであった。本年度はこうした目的のもと、以下の成果を得ることができた。 (1) 実世界のタスクをより詳細に研究するためのリアルタイムハイパースキャン脳波解析パイプラインを完成させた。 (2) 個人差の説明 アンケート、反応時間などの心理物理学的ツール、脳波などの生理学的ツールなど、これまでの研究で収集したデータを用いて、個人の認知的特徴を抽出した。また、次元削減と機械学習を用いて、潜在的な3D-intra-EEG空間を生成した。潜在的な3D-intra-EEG空間は、現在収集されているデータに従って、「チームフロー」行動を予測することができる。 (3) 電磁筋刺激(EMAS)の対人版を開発しました。EMASは、電磁石を用いて人間の手の随意運動を検出し、指の運動機能を制御する。EMASの対人版にはいくつかのモードがあり、様々な対人インタラクションが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) RHYTHMEの開発: Real-time HYperscanning pTHon Method for EEG (RHYTHME)を開発した。RHYTHMEは、脳波パワースペクトル、事象関連電位の表示と脳間同調性測定が可能である。このパイプラインは、この種のものとしては初めてで、あらゆるタスクに合わせることができ、心理学や認知神経科学の分野で広く応用されることが期待される。チームフロー解析やリアルタイムハイパースキャン脳波解析のためのパイプラインの使用方法に関するドキュメントを含むGitHubで公開している。2) 個人差を考慮したパイプラインの開発:次元削減と機械学習を含むパイプラインを開発し、潜在的な3D-脳内脳波空間を生成した。この空間は、Team Flowの行動を予測することができ、脳間コヒーレンスと相関がある。現在のパイプラインはMatlabで開発されているが、今後はPython版を開発し、オープンソースのパイプラインとして提供する予定である。3) 対人型EMASの開発: 初心者の指の反応を熟練者のパートナーに「ゆだねる」ために、Electro-Magentic Muscle Stimulation (EMAS) システムを開発した。EMASは、電磁石を使い、手の動きを検知して人間の指の運動機能を制御するシステムである。
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今後の研究の推進方策 |
1) RHYTHMEを論文として出版する。 2) チームフロータスクにおける個人間および個人内変動を捉えるための脳波潜在空間に関する論文を出版する。 3) RHYTHMEと対人関係EMASを取り入れる。 EMASシステムの異なるモードがペア参加者の運動スキル学習を促進する効果を比較し、RHYTHMEパイプラインをEMASシステムに組み込む予定である。 4)上記(3-)で収集したデータに対して、解釈可能なEEG潜在空間パイプラインを適用する。そこで、パイプラインの予測力と、新たに収集したデータへの適用を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により予定していた米国での共同実験および打ち合わせが実施できなくなり、全てオンライン会議にて実施したことによる。海外出張が実施可能となった段階で、これらの経費を使用して計画していた実験および打ち合わせのための海外出張を実施する。
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