研究課題
①海外展開については、インド・ラジャスタン州のトラックドライバーを研究対象者とした HIV/AIDS検査の受診行動に関連する要因を明らかにするためのオンライン・アンケート調査(66人を対象)を行った。その結果:HIV検査を過去に受けたことがあるトラック運転手はわずか1.5%であり、危険な性行動を示したのはわずか3%であり、より多くのサンプルが必要であることがわかった。HIV-1逆転写酵素をコードするRNAを標的としたRNA増幅によるHIV現地検査に必要な機材については、インド・ラジャスタン州・ジャイプル市のビヤニ大学へ送付した。②温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)の変曲点を検出するソフトウエアの開発については、変曲点検出処理にAttention機構を導入し、その効果を評価した。Attention機構の処理を導入前後での変曲点検出結果を比較したところ、アテンション導入前でしばしば発生していた、変曲点の過検出や検出漏れを抑制する効果が両attentionを併用した場合に認められる事例を確認した。また、より単純な、1本の軌跡のみを含む電気泳動画像に対する変曲点検出処理についても検討、実装を進めた。結果、単純な電気泳動画像の場合は上記のような処理で変曲点を良好に検出できることを確認した。③TGGEによる変異の検出については、SARS-CoV-2のアルファ株(E156F157R158, gagttcaga)の151塩基対の遺伝子断片とデルタ株(--G158、ggc)の145塩基対の遺伝子断片がTGGEで識別できることを示した。統計科学的手法である田口メソッドにより、RPA試薬の組成を最適化した。uvsYはN末端にHisタグをつけることが最適であることを示した。グリセロールを含む酵素溶液をゲルろ過にかけてグリセロールを除いた後に凍結乾燥することにより、試薬性能が保たれることを示した。
3: やや遅れている
①海外展開については、これまでの活動の結果、HIV検査を過去に受けたことがあるトラック運転手はわずか1.5%であり、危険な性行動を示したのはわずか3%であり、HIV検査行動または危険な性行動に関連する要因を特定するための分析を行うには、より多くのサンプルが必要であることがわかった。これを受け、調査対象者を「トラック運転手」から「HIV陽性患者」に変更し、HIV / AIDS薬の副作用(または薬剤耐性)に関連する要因の調査を行う方向で進めていく。また、インドへの渡航が可能になった段階でインドへ渡航し、先にインド・ラジャスタン州・ジャイプル市のビヤニ大学へ送付したHIV現地検査用機材を用いた測定を実施する。②温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)の変曲点を検出するソフトウエアの開発については、2021年度に、単純な電気泳動画像の場合は上記のような処理で変曲点を良好に検出できたことを受け、多くのTGGEの結果に対し本ソフトウエアが適用可能であることを実証していく。③TGGEによる変異の判別については、HIV-1のM184V、SARS-CoV-2のアルファ株(E156F157R158, gagttcaga)とデルタ株(--G158、ggc)を中心とし、各種変異についても長さや断片中の変異の位置(中央あるいは端)が異なる各種断片を設計し、TGGEのパターン調べることで、安定して変異が同定できるプライマーを設計する。RPA酵素については室温で試薬をインドへ送付できるよう、凍結乾燥の条件を引き続き検討する。
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、インドへの出張が不可能な状態が続いているため。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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