研究実績の概要 |
本研究では,動物に見られる予測性適応運動制御の神経機構を理解し,その工学的実現を目指した.具体的には,ほとんどの脊椎動物で観測される眼球運動である視運動性眼球運動(OKR)に着目し,ヒト,サル,マウス,ならびに金魚を対象として,種横断的にOKRの予測性適応制御の行動特性と神経機構を明らかにすることを目的とした.また,こうした予測性適応制御を実現する神経機構を人工脳として計算機上に実装し,制御コントローラとしてロボットの予測性適応制御に応用することにより,その工学的有効性を示すことを目的とした.本研究では,国内外の共同研究チームにより,次の4つのレベルの研究を進め,上記目的の達成を目指した:1 行動,2 神経細胞活動,3 神経ネットワーク,4 工学応用. 最終年度は,海外共同研究者の研究室を訪問しての共同動物実験(上記レベル1と2)を再開した.また,国内の代表者と分担者の研究室間の交流も再開し,各レベルの研究成果を順次学術論文としてまとめている.レベル1, 2, 3, 4に関する主に代表者の研究室で実施した金魚を対象とした研究成果の一部は,すでに学術論文として発表した(Scientific Reports, 2020; Frontiers in Neuroscience, 2024; Frontiers in Neurology, accepted).レベル1に関する主に分担者 小野の研究室で実施されたヒトを対象とした研究成果の一部も学術論文として発表した(Physiological Reports, 2021; Scientific Reports, 2021).現在,マウスを対象とした分担者 加藤,代表者 平田と海外共同研究者 Prof. Blazquezとの成果も論文にまとめている(一部はSociety for Neuroscience meetingで発表済み).
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