研究課題/領域番号 |
18KK0290
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 宏明 京都大学, 工学研究科, 教授 (70344017)
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研究分担者 |
花本 征也 金沢大学, 環境保全センター, 講師 (10727580)
小川 文章 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 上席研究員 (60589133) [辞退]
山下 洋正 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 上席研究員 (80355940)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 抗生物質 / 河川水 / 底質 / 下水処理水 / 分配 / 吸着 / 分解 / 予測モデル |
研究実績の概要 |
抗生物質による水環境汚染は、世界的に解決すべき喫緊の課題となっている。申請者らは抗生物質の自然減衰に対して先駆的に研究を行い、英国テムズ川では、国内河川よりも抗生物質の減衰が大幅に速いこと、金属錯体形成反応や河床間隙水塊との水交換といった日本では観測されない反応や現象が生じていることを見出した。しかし、これらの反応・現象に対する知見はまだほとんどない。そこで本研究では、英国テムズ川を対象とし、現地調査、室内実験、数理モデルを駆使して、ⅰ)金属錯体形成反応を考慮した抗生物質の底質への収着のモデル化、ⅱ)河床間隙水塊を考慮した河川水-底質間の抗生物質の移動現象のモデル化、ⅲ)抗生物質の水環境中濃度予測モデルの構築を実施する。本研究は、新たな反応・現象のモデル化により、化学物質、特に現在、世界的課題となっている抗生物質管理に資する普遍的な環境濃度の予測システムを構築するものである。 今年度は、以下を実施した。1)英国側共同研究者が拠点としている英国テムズ川流域中流部、Wallingfordにある水文生態研究所に共同研究者と研究協力者3名を派遣し、テムズ川の水質、底質試料の試料採水とそこに放流する下水処理場での水質試料を採取し、現地にて実験、前処理を行い、日本に資料を持ち帰った。 2)持ち帰った試料を使った試料を使った室内実験を行い、一部を機器分析行った。 3)英国側共同研究者らと、日本側共同研究者3名を含めて、京都大学流域圏総合環境質研究センターに隣接する大津プリンスホテルにて、共同研究打ち合わせを行った。また英国DEFRAおよび日本環境省が主催する第21回日英内分泌かく乱物質共同ワークショップに参加し、共同研究内容を発表し、議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析に使用する質量分析計が故障し、分析ができない期間が生じた。新型コロナウイルスの蔓延により、日本から英国への渡航が自粛せざるを得ない状況が続いている。同時に日本国内での蔓延により、共同研究者間での物理的な交流ができない。また共同研究機関での立ち入りが制限されている期間がある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの終息次第であるが、日英間の交流が再開できたあと、英国への現地調査を予定している。また日英政府間の第22回内分泌化学物質共同研究ワークショップが英国、Wallingfordで10月26日―27日に開催予定であり、これに合わせて共同研究の内容を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析装置の故障による実験時期の遅れ 新型コロナウイルスによる国内外の学術交流の延期
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