研究課題/領域番号 |
18KK0290
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 宏明 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (70344017)
|
研究分担者 |
花本 征也 金沢大学, 環境保全センター, 講師 (10727580)
小川 文章 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 上席研究員 (60589133) [辞退]
山下 洋正 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 上席研究員 (80355940)
|
研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
|
キーワード | 抗生物質 / 河川 / 流域 / 環境動態 / 畜産排水 / 生活排水 / 下水道 / 浄化槽 |
研究実績の概要 |
2022年度は新型コロナ感染が終息していないため、日本国内での流域での抗生物質の流出についての実態調査と排出源からの流出モデルの検討を引き続いて行った。 その結果、家畜用及び人畜両用抗生物質は、人用医薬品や他の水質項目よりも対象流域における濃度の空間分布幅が大きく、局所的な高濃度地点(ホットスポット汚染)が確認された。この要因には、養豚場が家庭・事業所の浄化槽よりも戸数が少ない点、畜産場間における抗生物質の使用種別や使用原単位のばらつきが大きい点が挙げられた。 T-P・T-N・BODは家畜用抗生物質6物質の合計濃度と有意な正の相関があり、主に養豚排水に由来すると考えられたが、これらの項目の空間分布幅は家畜用抗生物質よりも大幅に小さかった。対象流域においては、河川自流の希釈等により、汚染度の高い支川においても家畜用抗生物質及びT-P・T-N・BOD等の水質項目の濃度は養豚排水より1~2オーダー程度低かったが、今後、畜産業の局所集中化により畜産場が更に大規模化された場合、放流先の希釈容量が小さくなり、更なる高濃度汚染が懸念される。 また、日英の環境省が主催する日英内分泌かく乱化学物質共同研究ワークショップが、10月31日~11月1日にオンラインで開催されたため、発表と意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナパンデミックのため、英国への渡航ができなかったため、現地調査が行われていない。
|
今後の研究の推進方策 |
都府県とは家畜糞尿管理方式の異なる北海道では、農地からの家畜用抗生物質の流出が示唆される結果が得られており、北海道の畜産地域における雨天時の河川調査及び地下水調査を実施する必要がある。畜産場から排出される化学物質には、本研究で対象とした家畜用抗生物質や他の水質項目以外にも、家畜用消毒剤が考えられ、これについても汚染実態を評価する必要がある。 日英での相違を明らかにするための現地調査を行えるよう調査時期を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによるパンデミックが終焉せず、英国での現地調査を行うための海外渡航と共同研究者の受け入れができない状況が続いたため。 新型コロナウイルスのパンデミックの終息が期待される2023年度に、海外調査旅費、分析用機材などに充てる執行を行う予定である。
|