研究課題/領域番号 |
18KK0296
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
|
研究分担者 |
宗本 隆志 石川県工業試験場, 化学食品部, 研究員 (00745937)
高橋 嘉夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10304396)
|
研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
|
キーワード | モリブデン / モンゴル・エルデネト地域 / 地下水 / 希土類元素 |
研究実績の概要 |
前年までに得られたエルデネト地域におけるモリブデンの動態観測・室内模擬実験結果に基づいて、本地域における河川モリブデン汚染メカニズムを以下のようにモデル化した。本地域において河川モリブデン汚染は、①火力発電所で利用され河川に放流される地下水および、②エルデネト地域北部の調整池にためられた鉱山廃水、の河川への流入を起源とする。放出された河川中のモリブデン濃度は、河川堆積物への吸着・脱離平衡により制御され、pHが高い場合河川モリブデン濃度は増加し、低い場合減少する。 エルデネト地域には300を超える井戸があり生活用水に利用されている。エルデネト地域で利用される地下水に高濃度のモリブデンが含まれる場合、本地域においてモリブデンに起因する健康被害が生じている可能性がある。そこで予察的に2020年8月にエルデネト地域に分布する地下水を採取し、モリブデン及び溶存成分の分析を行った。その結果、火力発電所および鉱山周辺の地下水モリブデン濃度は高濃度を示す一方、エルデネト市内の地下水モリブデン濃度は環境基準を十分に下回ることが分かった。 また、河川および堆積物の希土類元素の分配を調査し、鉱山地域における希土類元素に関する知見を得た。 河川からのモリブデン浄化方法の開発を目指し、バライト共沈法を用いた汚染水からのモリブデン除去実験を行った。その結果バライト共沈法により、河川からモリブデンを除去できることが分かった。 モンゴル南部バレー・オブ・ゴビレイクに分布する塩湖の重金属汚染状況の調査も行った。その結果、いくつかの塩湖ではウランおよびヒ素の溶存濃度が環境基準を超過していることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年までに得られた観測および実験結果から、河川モリブデン汚染メカニズムをモデル化することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
3年間の検討で明らかとなったエルデネト地域における河川水のモリブデン汚染状況およびそのメカニズムを学術誌に報告する。より広範囲におけるエルデネト地域の地下水モリブデン汚染状況を調査する。塩湖におけるヒ素・ウランの濃集メカニズムを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初予定していたモンゴル現地調査を行うことができず、次年度使用額が生じた。本予算は2021年度におけるモンゴル調査費用と分析費用に利用する。また、3年間の研究成果の報告費用に利用する。
|