| 研究課題/領域番号 |
18KK0297
|
|---|
| 研究機関 | 山梨大学 |
|---|
研究代表者 |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
|
|---|
| 研究分担者 |
田中 靖浩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50377587)
清 和成 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80324177)
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90632729)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
|
| キーワード | 健康関連微生物 / 指標微生物 / 地下水 / カトマンズ盆地 / 新型コロナウイルス |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では，病原微生物による水系感染症の発生が深刻な問題となっているネパール・カトマンズ盆地において，現地住民の主要な飲料水源である地下水をはじめとする水試料を対象に，ウイルスや原虫等の病原微生物による水試料中の汚染実態およびその汚染源を明らかにすることを目的とした。
2018～2019年度には現地調査（2019年2～3月および2019年8月）を実施し，下水処理場の流入水や放流水，病院排水，河川水および地下水を採取した。現地調査での実験作業はカウンターパートのSherchand教授（トリブバン大学医学部）の研究室において実施した。
これらの水試料から分離培養と生化学試験によって病原性大腸菌O157:H7を同定し，16種類の薬剤のうち最大で14種類への耐性を有していたことから，現地では多剤耐性のO157が流行していることを明らかにした。また，下水処理場や病院排水処理施設で採取した流入水と放流水の測定結果から，ウイルスや原虫等の病原微生物，薬剤耐性遺伝子，大腸菌等は十分には除去されておらず，河川水質に及ぼす下水の影響の大きさが示された。
2020～2021年度は，新型コロナウイルス感染症の影響によって研究代表者・分担者による現地調査は実施できなかったが，代表者の研究室の研究員であるSarmila Tandukar氏が現地に長期滞在していたことから，下水や河川水等の水試料（73試料）を採取し，これまで測定してきたノロウイルス等に加えて新型コロナウイルスを対象とした測定を実施した。
これらの研究活動により，カトマンズ盆地の水環境中における病原微生物汚染の実態に関する知見が得られ，特に，下水や河川水から新型コロナウイルスの検出に成功した点は，感染流行の全体像が把握できていない現地において，下水疫学調査の活用が有効となることを示すものであり，極めて優れた成果が得られた。
|
