研究課題/領域番号 |
18KK0302
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
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研究分担者 |
井上 千弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30271878)
黄田 毅 東北学院大学, 工学総合研究所, 研究員 (40727442)
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学総合研究所, 客員教授 (80194033)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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キーワード | ヒ素汚染 / 亜ヒ酸酸化 / メコンデルタ |
研究実績の概要 |
ベトナムとカンボジアのメコンデルタ地帯で起こっている自然由来のヒ素による地下水汚染問題に対して、海外の研究者と共同で、低コスト・省エネの地域結合型新規浄化技術を開発することを目的としている。カンボジアで取り組んでいる亜ヒ酸酸化によるヒ素浄化処理については、コークスを微生物担体とした散水ろ床型処理装置を、現地の井戸の横に設置して運転を行なってきた。設置したのは、以前調査した井戸のうち、ヒ素濃度が高く、土地の貸借が可能な場所(総ヒ素濃度約1000ppb)である。井戸水の貯水槽と、それに続く亜ヒ酸酸化槽、鉄イオンとの共沈物沈殿槽を設けて運転を行なってきた。亜ヒ酸がヒ酸に酸化された後、地下水中の鉄イオンと反応して沈殿を生じることでヒ素が除去されるが、今回の井戸水は鉄濃度が低かったため、鉄イオンを供給することで共沈を促した。また今年度は、沈殿が難しいコロイド状粒子を除くため、装置の後段に砂ろ過装置を追加で設置した。流入水を500 L/日から750 L/日、1,000 L/日と増加させながら、運転を行なった。砂ろ過装置の設置によって、最終総ヒ素濃度を昨年度の半分の約50ppbにまで減少させることに成功した。一方で、砂ろ過装置内に蓄積した鉄とヒ素の共沈物を取り除いて洗浄する作業が必要となったため、この作業の省力化について考慮する必要がある。また、共沈物中でヒ素を固定化する方法を開発することも必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カンボジアでの研究については、現地の井戸を借りて、実験用の装置の設置と稼働まで到達することができ、昨年度から2年間にわたるデータを取得することができた。また、砂ろ過装置を設置することで、植物を使わなくとも目標の濃度までヒ素濃度を下げることに成功した。ベトナムにおいては、先方の研究室のスタッフの移動や研究代表者・分担者の渡航が不可能な状況下で植物サンプルの採取を行うことができず、研究が進まなかった。カンボジアでの装置の稼働実験に絞って、1年間の研究期間延長を決定し、手続きを行なった。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアにおいて、実験プラントの土地契約が終了したため、近隣の小学校に装置を移設して、新たな現地井戸水を用いてデータ採取を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに旅費として計上していた予算、および現地で購入予定だった消耗品代等を使用することができなかった。現地プラントの移設費と維持管理費、共同研究者の渡航費に充てる予定である。
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