研究実績の概要 |
渡航は 2019 年度に完了済みであり,今年度は研究費の支出は無しである.2020 年度は,主にこれまでの成果の収穫を行った.渡航中に行った研究の続きは,本国際科研の基課題である若手研究「レーザを用いてセンサに誤情報を挿入する攻撃とその対策に関する研究」の枠組みで行った.
共同研究の成果として得られた,レーザー照射によりマイクに対して音声信号を挿入できる脆弱性を発見した成果により,セキュリティ分野のトップカンファレンスである USENIX Security に採録された (雑誌論文[1],採録率 16.1%).この成果は高い評価を得ており,その後,複数の学会・学会研究会において招待講演を行った(学会発表[2, 3, 4]).また,2021 年度にも招待講演が予定されている.加えて,周知のために,国内学会での講演も行った(学会発表[1]).
上記脆弱性の根本的な解決には,レーザー照射により音声信号が挿入できる物理メカニズムの解明が必要であるとの知見に至った.特に,光照射によりマイクで機械的振動が生じる物理現象(光音響効果)のメカニズム解明は,さらなる研究に資するテーマであると考え,新たな研究計画を立案,2021年度からの基盤(C)より採択を受けた.そのため,本国際科研に端を発する研究テーマを,次年度からも科研費で継続することができる.なお,上記の基盤(C)も,ミシガン大学と共同で実施する;国際科研により得た機会を,継続的な共同研究に発展させることができた.
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