研究課題/領域番号 |
18KK0317
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 知道 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60392958)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | 炭素循環 / リモートセンシング / 光合成 / 生態系モデル |
研究実績の概要 |
テーマ1:地上観測データの統合解析とデータベースの構築: 超高分解能分光放射計QEpro(OceanOptics社)をつくば市真瀬の水田および岐阜県高山市に設置し、5-10分間隔で測定されたスペクトルから、スペクトラルフィッティング法でO2-A SIFを計算した。その結果は、他の研究によるものと同等強度になり、観測がうまくいっていることがわかった。さらに別予算で行われている北海道美唄市湿地と沖縄県国頭村照葉樹林でも、QEproによるスペクトル観測が始まり、国際比較するためのSIFデータがさらに蓄積されている。 テーマ2: SIF-光合成モデルの相互比較:SIFを取り扱う森林3次元放射伝達モデルFLiES-SIFのプロトタイプが完成し、記述論文を投稿した(Sakai et al., in submission)。さらにTKYサイトにおけるSIFおよびGPPの再現検証実験を行った。その結果、TKYにおける観測SIFをある程度再現することが可能になった。 テーマ3:SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の統合的評価:つくば市水田と岐阜県高山市落葉広葉樹林で計測された地上SIFは、衛星GOSATによるSIFとの同様の季節変化を示しており、両観測が一貫性のあるものであることが示唆された。さらに、PENによる中程度分解能の分光放射観測データと、QEproによるSIFを比較し、両者のスケーリング係数の決定ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テーマ1:地上観測データの統合解析とデータベースの構築: 超高分解能分光放射計によるSIF観測もプロトコルが安定してきており、2019年シーズンよりTKY,MSEなど複数サイトのSIFデータが取得されている。 テーマ2 SIF-光合成モデルの相互比較:森林3次元放射伝達モデルFLiES-SIFは、論文投稿が済んだため順調に進んでいる。 テーマ3 SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の統合的評価:中程度分解能分光放射計によるSIFデータと高分解分光放射データによるSIFの比較が進んでおり、過去データへのスケーリング係数の適用までもう少しのところまで来ている。さらに衛星データについてはGOSATとの比較も進んでおり、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ1:地上観測データの統合解析とデータベースの構築: 超高分解能分光放射計によるデータは引き続きTKY,MSEを中心にSIFを計算するとともに、各種衛星との比較もさらに行う。 テーマ2 SIF-光合成モデルの相互比較:森林3次元放射伝達モデルは、FLiES-SIFを岐阜県高山市のフラックスサイトに対して適用し、推定精度の検証を行う。 テーマ3 SIFモデル-データ融合による生態系炭素循環の統合的評価:GPP-SIF関係をTKY,MSEを中心に進める。衛星データによる不確実性は、GOSATの観測点データを引き続き収集および解析を行う。
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