研究実績の概要 |
高波長分解能分光放射計によるSIF地上観測のための機器設置・管理・データ処理のプロトコルを確率した。また複数のサイトにおいて、地上観測SIFと渦相関法から得られた総一次生産(GPP)との関係を調べた。水田・湿地サイトでは、赤領域SIF(O2Bバンド)・近赤外領域SIF(O2Aバンド)が共にGPPとの間で強い線形の相関を示した。また落葉広葉林サイトでは、林内の複数高度における上下方向のSIFの推定を行い、GPPとの間で正の相関があることがわかり、SIFによるGPPの再現可能性が高いことがわかった。亜熱帯サイトにおいては2020年度に1シーズン分のSIFを安定して観測することができ、現在は渦相関法GPPとの比較を進めている。さらに複数サイトの2019-2020年における地上観測SIFによる衛星観測SIFの検証と、SIF-GPP関係について、サイト間比較を進めている。中分解能分光放射計データに新たに開発したaFLD法を利用し、落葉広葉樹林サイトの11年間の長期SIFデータを推定した(Nakashima et al., 2021, 修正中)。開発が終了し投稿したFLiES-SIFのモデル記述論文については、2020年度に査読者の指摘をもとに既存モデルとの比較などの追加実験を実施し論文成果として公表することができた。三次元森林放射伝達モデルFLiES-SIFを利用し、札幌市のコムギ畑において観測されたSIFの日中低下が、条立て方位によって発生することを明らかにした。
|