研究課題
いわゆる環境ホルモンとして、様々な化合物が報告されている。なかでもプラスチック原料であるビスフェノールA(BPA)は、特に微量の暴露での作用機序不明の悪影響が知られる有害環境化学物質である。近年、この代替として、BPA誘導体である、新世代ビスフェノールが使用されている。しかし、これらの安全性に関する研究はほとんど行われていない。こうしたなか、新世代ビスフェノールによるエストロゲン受容体αの活性が、核内受容体が複数存在することにより増強されることを見出した。これを解明する基課題の発展のための課題である。この研究過程で、新世代ビスフェノールを胎仔期暴露して生まれた仔マウスは、比較対照群よりも太るという意外な現象に気がついた。この解明のために、ホルモン受容体と代謝異常研究の第一人者であるEvans教授と共に、ノックアウトマウスを用いた国際共同研究を行う。本国際共同研究は、生殖系や脳神経系の悪影響が注目される有害環境化学物質研究において、世界的な新展開を導く。申請時の当初計画では第二年度に予定していた研究代表者の渡航を、受け入れ態勢の都合により、初年度に前倒し、エストロゲン関連受容体γ型(ERRγ)をタモキシフェンの投与により時期特異的に自在にノックアウトできる、コンディショナルノックアウトマウスを用いた実験を行った。これに従い、第二年度に、当初計画では初年度に計画していた新世代ビスフェノール暴露マウスの行動解析を日本で実施した。コロナウイルス感染拡大による行動制限のため、実験開始時期が遅れたものの、予定通り行動解析を終了することができた。最終年度となる第三年度には必要に応じて実験をまとめるために海外共同研究者を訪問予定であった。しかし、社会状況により渡航は厳しかった。そこで、可能な限りオンラインで議論を行い、これまでの成果をまとめた。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 297 ページ: 101173~101173
10.1016/j.jbc.2021.101173
http://lsfb.scc.kyushu-u.ac.jp