研究課題/領域番号 |
18KK0324
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
長野 明子 静岡県立大学, 国際関係学研究科, 教授 (90407883)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | レキシコン / 語彙 / 言語接触 / 語形成 / 語彙素基盤形態理論 |
研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、欧州・語形成ネットワークという多言語使用地域の研究者連携の強みを十分に活用し、レキシコン(心的辞書)における語形成と借用の関係について検証を行うことである。令和3年度の研究では、第1に、複合(compounding)を題材として語形成と借用の関係を検証した。英語やフランス語からの借用語を語形成の素材(入力語)とする場合でも、日本語ではdvandva型等位複合語の形成が可能であることを示した。その結果をthe European Society for the Study of English (ESSE)の第15回会議で発表し、チェコ・スロバキアを中心とする研究者と意見交換をすることができた。また、国内の歴史言語学者1名、統語論者1名と共同で日英語の複合語についての単行本の執筆に取り組み、原稿を出版社に入稿することができた。 第2に、イタリア・米国の研究者グループが進める擬似等位構造の研究に参加し、日本語方言のデータを用いて分析を行った。日本語の場合、文末に生起する動詞連結に擬似等位構造が観察されることを示した。その結果を論文にまとめ、同グループが編者となった学術論文集の中の1篇として出版することができた。 第3に本課題の海外共同研究者であるVincent Renner氏(University of Lyon)、及び欧州語形成ネットワークの一員であるAlexandra Bagasheva氏(University of Sofia)と共に、2022年6月にスロバキアにて開催予定の形態論・語形成関連国際学会でのワークショップの本格的な準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内で実施できる研究活動は計画通りに進んでいるが、国外で実施する研究計画や海外共同研究者を日本に招聘する計画が新型コロナウイルス感染症の世界的まん延により延期になっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の補助事業期間を1年間延長し、2022年6月に延長となった国際学会 Word-Formation Theories IV & Typology and Universals in Word-Formation Vに備える。この学会で海外共同研究者Vincent Renner氏、及びAlexandra Bagasheva氏とともに、共同オーガナイザーとしてワークショップ Towards a Competition-Based Word-Formation Theoryを実施する予定である。第2に、ワークショップを基盤として競合理論に関する論文集の出版を計画しているので、その業務に着手する。
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