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2019 年度 実施状況報告書

ヨーロッパ境界地域における経験の記憶化と歴史化のプロセスに関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0328
研究機関東京外国語大学

研究代表者

小田原 琳  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70466910)

研究期間 (年度) 2019 – 2021
キーワード歴史 / 記憶 / ヨーロッパ / ジェンダー
研究実績の概要

本共同研究は、紛争・衝突にさらされ、政治的境界の設定・再編にともなって創出される境界地域(ボーダーランド)において、地域住民の経験の記憶化の過程に働く力学を、とくに社会的境界ともいえるジェンダーや人種の機能を重視して検討すること、およびこれを踏まえて、記憶のトランスナショナルな歴史の再構築に関する理論研究を行うことを目的とする。この目的は、海外共同研究者2名との協働により、ヨーロッパおよびアジアにおける、戦争によって空間的・社会的境界が創出されるプロセスやその表象、住民への作用を比較研究して進められる。
2019年度は、第一に、政治的境界の設定以前には共有されていた経験が、事後に分断をともなって想起されるという問題を、境界の付与する「他者化」の権力としてとらえる議論(Van Houtum et al., B/ordering Space [New York: Ashgate, 2005])を参考として、本共同研究の理論的基盤の研究を進めた。第二に、とりわけそこで働く人種主義とジェンダーの言説的な力について検討した(イタリア近現代史研究会報告「第一次世界大戦における戦時性暴力と人種主義言説」2019年11月、国際ワークショップGender and Criticism: Japan in the Trans-Pacific (California State University, Northridge, the United States) およびReproductive (Non) Freedom (Ca' Foscari University of Venice, Italy)における研究報告など)。海外の共同研究者とは、主にメール等を通じた情報交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本共同研究を進行させる二つの側面、(1)事例に即した記憶化ののプロセスに関する実証研究、(2)それがのちに歴史叙述として言説化される際に記憶化のプロセスに働く力学に関する理論的研究のうち、(2)の点を重点的に進めつつ、(1)に関しても研究実績をつくることができた。

今後の研究の推進方策

2020年度は、主にオランダ・ライデン大学において、共同研究者Maja Vodopivec氏・Aya Ezawa氏との共同研究を進める予定である。Covid-19流行の状況により、渡航の遅延が見込まれるため、共同研究者とは引き続き、オンラインでの共同研究を進め、在外研究に備える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Anti-Nuclear Movement and 'Motherhood' in Post-War Japan: A Feminist Perspective2020

    • 著者名/発表者名
      Rin Odawara
    • 雑誌名

      DEP: Deportate, esuli, profughe

      巻: 41-42 ページ: 54-63

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A complicated relationship between the eugenics and the reproductive rights in Post-War Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Rin Odawara
    • 学会等名
      Reproductive (Non) Freedom (Ca' Foscari University of Venice, Italy)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 〈無垢〉の死者を想起することの困難:フォッセ・アルデアティーネの虐殺と戦後イタリアのナショナル・アイデンティティ2019

    • 著者名/発表者名
      小田原琳
    • 学会等名
      東アジアのメモリー・レジーム:再現と遂行(西江大学、韓国)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Motherhood and the Anti-nuclear Movement in Post-War Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Rin Odawara
    • 学会等名
      Gender and Criticism: Japan in the Trans-Pacific (California State University, Northridge, the United States)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「第一次世界大戦における戦時性暴力と人種主義言説」2019

    • 著者名/発表者名
      小田原琳
    • 学会等名
      イタリア近現代史研究会
    • 招待講演
  • [図書] 「〈書評〉誰のために歴史を書くのか--ゼバスティアン・コンラート『グローバル・ヒストリーとはなにか?』」成田龍一・長谷川貴彦編『〈世界史〉をいかに語るか グローバル時代の歴史像』2020

    • 著者名/発表者名
      小田原琳
    • 総ページ数
      212(141-149)
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      978-4-00-061389-7

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公開日: 2021-01-27  

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