研究課題/領域番号 |
18KK0332
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
三田 順 北里大学, 一般教育部, 准教授 (20723670)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | スロヴェニア / 越境 / カルスト / イストリア / コソヴェル / 境界 / 幻想 |
研究実績の概要 |
渡航が延期され国内待機が続いていた2021年度前期は引き続き、一次文献への依存が少ない理論的アプローチによる研究を境界性と幻想詩学との関連に重点を置いて進めた。その成果の一部はウクライナのチェルニウツィー大学が主催となりオンライン形式で開催された国際学会で発表し、幻想文学研究の古典であるツヴェタン・トドロフの術語の翻訳の問題を手掛かりに、ジークムント・フロイトとの比較を行い、精神分析からは距離を取りつつもトドロフの考える「幻想」概念が、実はフロイトの「不気味なもの」に通じていることを指摘した。本発表の成果はフランス語論文として国際誌に発表した。またデンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイの描いた一見写実的な室内画の喚起する違和感ををフロイトの「不気味なもの」、およびロボット工学における「不気味の谷」概念から考察した論考を英語論文として発表した。 九月に入り、新型感染症の世界的流行のために延期されていた渡航が急遽後期より可能となったため、予定していたスロヴェニアでの研究滞在を十月より始めることができた。生活環境を整えて後、国立図書館を中心に文献の収集、資料の分析を進めた。三月にはポーランドのヴロツワフ大学が主催となって開催されたオンライン学会に参加し、戦間期のスロヴェニア詩を代表するスレチュコ・コソヴェルの印象主義作品を、後背地とその境界性の有する想像力という観点から論じた発表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定していた渡航が一年半延期されたため、全体的な予定は大幅に遅れている。また渡航先の査証取得が滞っており、渡航後半年以上滞在国外に移動することができていない。そのため予定していた他国での資料収集や対面形式の学会参加ができず、研究活動に支障が生じている。欧州ではオンライン形式の学会が減少し始めているため、夏学期の予定に大幅な変更が生じる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
既にエントリーを済ませている複数の国際学会での発表を行うための準備を進めつつ、すでに執筆を許可された学会誌、論集への投稿論文の執筆を進める。
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