3年目にあたる2021年度は、昨年度から引き続き、F.J.ビーバー資料群のデジタル・アーカイヴズ化の作業に取り組んだ。オーストリア科学アカデミー・デジタル人文学文化遺産センターの共同研究者とオンラインでの定期会議を開催し、常に連携して作業を進めた。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、当初の研究計画では2年目に予定していたオーストリアでの研究・作業について、2021年7月から2022年3月までの約9ヶ月間に振り替えて実施した。具体的に作業対象とした資料は、F.J.ビーバー資料群のうち、絵葉書資料と写真資料である。 絵葉書資料については、昨年度に絵葉書に印刷されている絵と写真の著作権者の特定を完了した資料について、本年度はそれぞれの著作権者にデジタル画像のオンライン上での公開、ダウンロードおよび使用の可否について許諾申し入れを行った。その後、メタデータの作成を行い、オンライン上でのデジタルデータの公開に向けた準備を行った。著作権をめぐっては、本研究の計画時には想定できていなかった点であり、これにより研究計画を修正する必要が生じた。その結果、当該資料のオンライン上でのデジタルデータの公開は翌年度以降に持ち越されることとなった。 写真資料については、デジタルデータの作成に取り組んだ。写真資料一点一点について撮影場所や撮影時期、被写体に関する情報などを網羅したリストを作成した。その後、一点一点をスキャンし、全ての写真資料のデジタル化を完了することができた。
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