研究課題/領域番号 |
18KK0337
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
松尾 瑞穂 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 准教授 (80583608)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | サブスタンス / 人種 / 遺伝子 / 混血 / インド / スリランカ / 生殖医療 |
研究実績の概要 |
本研究は、インドにおける集団カテゴリーの構築と同定に用いられる血と遺伝子の論理について検討することを通して、集団の差異の「自然化」や「実体化」にサブスタンスが作用するメカニズムを解明することを目的とする。サブスタンスとは、親子や家族、集団の間で共有し、継承されるとみなされる身体構成物質である。本研究が対象とするのは、インドにおける人種や民族、カーストといった集団の差異化において、 血と遺伝子をめぐる言説が、科学的知識として歴史的に生成され、流通し、機能している様態である。歴史、政治、ナショナリズムなどの絡み合いを解きほぐし、社会集団の範疇化や他者との差異化について検討を行うものである。 今年度はインド・サヴィトリバーイー・フレー・プネー大学およびイギリス・エジンバラ大学に滞在し、19世紀インドの人種概念の構築に関する文献資料収集と現地調査、共同研究を開始する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の影響により、昨年度同様、すべての渡航計画が中断されてしまった。そのため、すでに着手している南アジアの人種概念とその歴史的展開、および近年の遺伝子や配偶子に関する人類学的論文や民族誌などの文献資料の収集と読解、資料リストの作成、調査訪問先の選定とオンラインでの打ち合わせを継続した。また、学術論文および共著を刊行し、プロジェクトの中間報告として成果刊行に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナウィルス感染症のため、予定していた海外渡航と国内外の出張が中止となったため、今年度に計画されていた調査およびエジンバラ、インドでの共同研究は残念ながら延期された。当初の予定では昨年度の9月からイギリスに滞在予定であったが延期となり、またインドとスリランカの状況も予断を許さないため、インドやスリランカ調査を前倒しにするという代替案への変更も事実上不可能であった。共同研究者とのオンラインでのやり取りや、オンラインの国際学会やセミナー、国内学会への参加を通して、可能な限りで本課題の進展に尽力しているが、現地調査が延期されていることによる遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、2020年9月からイギリス・エジンバラ大学に客員教員として滞在し、本課題の研究を実施する予定であった。しかし、長期にわたる延期の間に、共同研究者の他国への異動や研究環境の変化があり、代替策としてオランダ・ライデン大学での研究を検討する。また、インドとスリランカにおける遺伝子に関する認識調査および、mixed raceであるアングロ・インディアンとバーガーという民族集団に関する調査に着手するため、現地調査に限らずオンライン調査なども併用する予定である。今年度は海外渡航が可能となる可能性が高いため、夏以降にインド・サヴィトリバーイー・フレー・プネー大学に客員研究員として滞在を予定している。各国の大使館等の情報を適時入手し、安全に留意しながら調査研究活動を実施する。また、共同研究者とはオンライン会議等を活用し、議論を継続するとともに、文献資料の読解や先行研究のまとめなど、国内でできることを優先して課題の遂行に努める。
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