研究課題/領域番号 |
18KK0344
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50379616)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2024
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キーワード | 田園回帰 / 地域資源 / コミュニティ / 農山村 / インターローカル / ベトナム / 東南アジア |
研究実績の概要 |
本研究はヨーロッパにおいて2010年代以降議論が活発になった農村におけるネオ内発的発展の適応可能性をベトナムを中心に精査し,さらにモンスーンアジアへの適応可能性の試論を検討することを目的とする。その際,農村空間を「コミュニティ空間」と「生産空間」に区分して,都市からの多様な資源が空間変容にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。 2022年度にスタートをしたネオ内発的発展における住民参加の実践を伴う10のテーマの地域参加型研究(CBPR)の進捗状況を確認するため2023年7月から10月まで訪越し,CBPRを通したネオ内発的発展の課題の確認を行った。これらについては2023年度末まででいったんの区切りとしつつ,研究成果の公表を進めている。具体的には既に2本のベトナム国内での学術論文の公表を行っており,また2024年7月に予定されているベトナム地理学会での3本の報告と論文公表,2024年9月のベトナム地学会での報告と論文公表,2本の国際学術雑誌への投稿が進められている。 またCBPRを実践する過程の中から,「生産空間」に関連して景観要素について新たに分析が必要となったため,「田園回帰」と「ボランティアツーリズム」に加えて,「里山モデル」に関わる研究を2023年11月に訪越をしてスタートさせた。また「コミュニティ空間」については,塩見直紀(2008)『半農半Xという生き方』(ソニーマガジンズ刊)のベトナム語版が出版されベトナム国内でも注目を集めていることから,「半農半X」という実践をネオ内発的発展における社会潮流の一つとして位置づけ,8人のベトナム人農村研究者で合評チームを組織し,ベトナム農村への適用を検討した。その成果は2024年度に公表をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19による研究対象地域での活動の制限はなくなったため2022年度にスタートさせた研究活動は順調に進んだ。しかしながら日本国内での業務調整などのため一時帰国が必要であったため,連続滞在としては合計約2か月の研究となった。 一方で2022年度に行った現地での研究活動を通して培った,フエ大学傘下のフエ科学大学,フエ農林大学,ダナン大学傘下のダナン師範大学といったベトナム中部の拠点大学のみならず,中南部のクイニョン大学,中北部のヴィン大学などに所属する研究者とのネットワークを活かして,ベトナムでは新しい研究スタイルであるCBPRを導入しながら,特にベトナム人の若手研究者との国際共同研究の広がりを意識した研究活動を実践中であり,研究活動自体はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は研究成果の取りまとめの期間として,以下の企画を進めている。 1.10テーマのCBPRに関する論文公表 2.上記10テーマのCBPRに関わる研究者(ネオ内発的発展論における外部専門家)へのアンケート調査を通した,ベトナム農村におけるネオ内発的発展の適応可能性の検討と課題の抽出 3.2024年度も継続となったベトナムにおける「田園回帰」,「ボランティアツーリズム」,「里山モデル」におけるネオ内発的発展要素の検討と論文等の公表。 4.「半農半X」という実践に関するベトナム人農村研究者で合評成果の論文の公表。
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