研究課題/領域番号 |
18KK0349
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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キーワード | 傾聴 / 初学者 / うわすべり / 臨床心理学 / 臨床心理面接コーパス / 感情推移観測システム(EMO system) / 認知科学 / 聴覚・音声学 |
研究実績の概要 |
初学者における傾聴のうわすべりの解明とその回避の手続きを、日本語母語話者以外の臨床心理面接にも発展させることで、傾聴の文化的な共通性と多様性を明らかにし、解決を促進するため、次のように実施した。1.基課題及び海外の臨床心理面接コーパスに対し、本手続きを適用、比較文化臨床心理学の枠組を構築、2.基課題の感情推移観測システム(EMO system)を海外の関連研究者と議論・共有、3.論文共同執筆。 1.および2.については、University of Maltaにおいて構築した多言語臨床心理面接コーパスの検討をUniversity of California, Berkeley他の機関に所属する関連研究者や臨床家による前年度までの検討をふまえて、当該年度はさらに日本語母語話者への還元を促進するために、多言語臨床心理面接コーパスの書き起こしと翻訳作業を進めることができた。これにより、授業や学会等での教育的なニーズの対応と活用を見込んでいる。 3.については、前年度までの、University of Malta他の機関に所属する関連研究者や臨床家との議論・共有を経て、当該年度に18歳以上の若者向けにSafeSpaceをリリースすることができた(2022年12月)。これは若者が自分の感情を管理し、自傷行為への衝動を抑えるのに役立つモバイルアプリである。気分の落ち込みを緩和するための適切な活動と、健康状態を監視するためのリソース、およびメンタルヘルスの問題の深刻度に応じて地域のサポートサービスにアクセスするためのリソースを提供している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.および2.については、在外期間中はコロナ禍の影響で関連機関がリモート化していたため、当初見込んでいた現地でのメンバーやペースによる検討は十分行えなかったものの、帰国後状況の改善にともない、日本語母語話者の学習者を対象とした、多言語臨床心理面接コーパスの書き起こしと翻訳作業を進めることができた。3.については、University of Maltaを中心に開発中の若者や子どものメンタルヘルスに資するアプリケーションや音声システムの試行に当初予定よりも時間を要したものの、完成した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍によるアメリカでの機関における研究環境等への支障他から研究の推進に遅れが生じたが、引き続き利用可能なデータをもとに論文執筆等の成果報告の準備を進める。
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