研究課題/領域番号 |
18KK0351
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竹内 規彦 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (40387569)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2023
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キーワード | ネオ・ジェロントロジー |
研究実績の概要 |
本国際共同研究は、①研究対象、②概念、及び③成果発信の各側面において、基課題から格段に発展させ、東アジアにおける中高年人材の「プロアクティビティ」(状況に応じた個人の予期的、先取的、変化志向の自発的行動)向上のメカニズム解明を目的とする。 2022年度(以降、今年度)は、昨年度台湾で実施した調査のフォローアップと日・台両国での大規模データの収集を行う予定であったが、年度の上期から中期にかけて、同国にてコロナ・エピデミックがピークとなり、帰国後の再入国が、年度終盤の3月まで実現できない状況に陥った。そのため、主に日本の国内で実施できる活動に焦点を当てた。具体的には以下の3点を行った。 第1に、昨年度に続き、既に得られている日本と台湾の両国で収集したプレサーベイデータの集計及び統計解析を行った。両国のデータにおいて、多次元を含むプロアクティブ行動尺度の因子妥当性や信頼性を確認することができた。 第2に、日本で収集した時系列データについて、潜在成長曲線モデリングによる解析を進展させた。具体的には、企業がシニアに配慮した人事施策(シニアへの柔軟な業務割り当てやシニアの強み伸ばす仕事成果のフィードバックなど)を行っているほど、①中高年人材の定年後の就業継続意思が時系列で高まる一方、仕事への無気力(ジョブ・アパシー)の時系列での低下することが明らかとなった。さらに、中高年のキャリア意識が、この関係を調整していることも確認された。 第3に、海外研究協力者と定期的にオンラインでミーティングを行い、役割分担した研究活動の進捗を随時確認するとともに、論文化の方向性についても定期的に議論を行った。年度終盤の3月には、日本から台湾への渡航が可能となり、次年度の調査実施に向けた準備や体制構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、今年度の前半から中盤にかけて、台湾ではコロナのエピデミックがピークとなり、夏に予定していた台湾への渡航と現地調査を延期せざるを得なくなった。そのため、それに付随する日台での大規模質問紙調査も延期することとなった。その一方で、日本国内での活動として、データ解析や文献の再レビューに多く時間を割り当てることができ、既に得られているデータの再分析が進んだ。これは、今後の論文化や成果公表の面ではプラスにつながるものと考えられる。以上のように、研究活動全体としての進捗で見れば、大きな遅れではないものの、データ収集の面で若干の遅れがあるため、やや遅れているという判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月より、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類へと移行し、日本からの海外渡航制限が事実上なくなった。そのため、予定していた現地調査を今夏に再開し、その後一連の研究成果を総括する形で課題を完了させる方針である。
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