研究課題/領域番号 |
18KK0353
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 准教授 (60610227)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | 財政 / 行政・立法関係 / 連合形成 / アカウンタビリティ / ポークバレル |
研究実績の概要 |
今年度は、共同研究者とともに、(1)マレーシアとフィリピンの財政に関する政府文書のリスト作成、(2)データ構築、(3)リサーチ・クエスチョンの設定を進めた。 (1)および(2)については、おおむね順調に進めることができた。基課題の予算を用いて、1970-2018年のマレーシア予算書のデータベース化・ビジュアライゼーションを進めた。また、フィリピン予算書の文書についても、2005-2020年までの予算書を入手し、データ入力およびクリーニングを終わらせることができた。2005年以前の文書については、資料の所在や入手方法は判明しているが、コロナウィルスの感染による封鎖のために、当面のデータ収集は中断している。 以上のデータについて予備的分析を行なった結果、両国において、特定の省庁や年に、予算額と実際の執行額に大きな差が出ていることがわかった。さらに、こうした乖離の起きた前後の文脈から判断し、行政の長と議会メンバーの間での取引や連合形成といった政治的なダイナミクスにより、財政過程が歪められた可能性が高いのではないかという仮説を導き出すに至った。もっとも、この仮説は予備的なデータ分析にもとづく直感に依存していることは否めない。これを実証的に確かめるための方法について、現在模索しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、2020年12月に交付申請を行った。その3ヶ月後に、マニラがコロナウィルスの感染に伴う封鎖下に置かれ、所属先であるデラサール大学への入構が禁止されたことで、RAによる作業が予定よりも2ヶ月程度滞った。さらに、本年4月には、アメリカ合衆国における植民地期および独立期の文書の収集を行う予定だったが、これもキャンセルせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
世界的に不確実性が高いなかで、確実に進めることのできるデータ分析に注力する。とりわけ、省庁・部局別/地域別の分析が十分にできていないので、当面はこの分野の分析を進める。また、一部アーカイブはデジタル化が進んでいるため、電子ファイルの取り寄せで対応することも検討している。
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