研究課題
本研究の目的は,個人が集まることで集団として成果を発揮するという集団特性,つまり集団的知性(collective intelligence)を実現するコミュニケーションの心理的・行動的な動態を捉えることである。特に,日本と米国にてデータを取得し,比較文化的な研究を行うことで日本人に適した集団的知性の発揮方法を探ることを目指している。初年度となる2019年度は,年度の後半からはUniversity of California, Santa Barbaraに滞在することもあり,国際間比較のためのデータ取得を準備・実施する予定としていた。研究成果としては,申請者がかねてから精緻化を試みてきたシンクロニーの計測方法を受入教授の保有するコミュニケーションデータに適用することで行動傾向の日米比較を行った。そこでは,日本人データでみられていたシンクロニー傾向が米国人においても再現されることが分かった。得られた知見について国際学会に発表登録を行ったほか,1本の論文を国際誌に投稿した(本報告書を作成する段階では学会発表も投稿論文も審査中の段階である)。ただし,小集団のコミュニケーション場面を対象とした実験については思うようにデータ取得が進まなかった。これは,データ取得が本格化する予定だった2020年3月の段階でCOVID-19の影響で大学が閉鎖されてしまったためである。ただし,これまでに取得した予備的データについては多角的に分析を進めており,次年度以降に成果として一部を発表できる見込みである。
3: やや遅れている
渡米後,申請者がかねてから精緻化を試みてきたシンクロニーの計測方法を受入教授の保有するコミュニケーションデータに適用することで行動傾向の日米比較を行うことができ,本研究課題の主要な検討事項である日米比較のための基礎を作ることに成功した。しかし,肝心の小集団のコミュニケーション場面を対象とした実験については思うようにデータ取得が進まなかった。これは,データ取得が本格化する予定だった2020年3月の段階でCOVID-19の影響で大学が閉鎖されてしまったためである。
帰国する前までに米国でのデータ取得を可能な限り行う。そして帰国後は日本でのデータ取得を進める。ただし,本報告書を作成している2020年5月現在,COVID-19の影響でUniversity of California, Santa Barbaraは閉鎖されており,いつ閉鎖が解除されるのかについても不透明な状態である。そのため,共同研究者である受入教授と密に連絡をとりつつデータ取得のめどを立てるところから始める必要がある。できる限り申請者のデータ取得を優先してもらうように交渉を進める予定であるが,UCSB在籍の大学院生もデータ取得が滞っている(それに伴い課程修了が遅れるなどの影響も危惧される)ことから,交渉が難航する可能性も否定できない。その場合は,帰国後,日本でのデータ取得をより充実させる方向に切り替えることも視野に入れる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Nonverbal Behavior
巻: 44 ページ: 153-172
10.1007/s10919-019-00321-2