本研究の目的は、移住者が在留資格や国籍に応じて階層化されるメカニズムの理論モデルを構築することにある。社会調査・政府統計データの詳細な分析やサーベイ実験から得られた知見をもとに、国籍や在留資格によって移住者の階層的地位が異なるメカニズムを検討した。この結果、日本における移住者の階層化は移住時点での産業、企業、雇用形態によって大きく規定されており、人的資本の多寡や差別の影響以上に、出入国管理政策と企業の人事管理上の戦略、それらの影響の中で移住産業の働きによって形成された移住経路の影響を受けていることが示唆された。ここから、日本においては移住者の制度化された階層化が生じているといえる。
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