日本とドイツはともに、「資本主義の多様性論」でいうところの、「調整型市場経済」に該当する。調整型市場経済はアメリカを典型とする「自由主義型市場経済」とは異なる市場経済の特徴をもつ。ところが、近年では、自由主義型市場経済をモデルとする制度改革が進められ、調整型市場経済の自由主義化が進んできた。自由主義化は政府の縮小や非市場的メカニズムの改革を通して市場経済の活性化を図ることに狙いがある。しかしながら、実際には自由主義化が進む中にあっても、むしろ政府による規制が強化される場合もある。本研究は、日本とドイツの競争政策を事例にして、自由主義化が進む中で、政府による規制強化が進めらたことを明らかにした。
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