研究課題/領域番号 |
18KK0367
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | MFCA |
研究実績の概要 |
2020年3月よりドイツのドレスデンに滞在し,共同研究者である国連大学所属のエデル・ギュンター教授と,ドレスデン工科大学に所属のトマス・ギュンター教授と複数の研究プロジェクトを実施する予定であった。しかしながら世界的なパンデミックの影響を受け,渡航は中止され,一部の研究についてはオンラインベースで打ち合わせを行い研究活動を実施してきた。 本研究課題の中心テーマである環境管理手法と環境マネジメントコントロールシステムの補完関係について昨年度の分析結果をベースに論文を作成し,投稿し審査結果を待っている状況にある。本研究ではMaterial Flow Cost Accounting (MFCA)などの資源生産性のための環境管理会計にはマテリアルフローベースの利用とエンドオブパイプでの利用の2つの側面があること,またMFCAなどのマテリアルフローベースの環境管理会計の手法が,廃棄物管理にフォーカスしたエンドオブパイプの環境管理会計よりもEMCSとの間の補完関係が低く,より独立して利用されていることが明らかになった。 これに加えて本年度は,業績評価システムの一つであるバランストスコアカードをサステナブルマネジメント領域に拡張した,サステナビリティバランストスコアカードという手法について実験を採用して研究を行なった。パイロットテストを通じて業績評価システムのデザインが意思決定に影響を与えることが示された。今年度はmulti criteria decision makingの条件下においてサステナビリティ情報へのウェイトがどのように変化するのかについて,引き続き検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックの影響で2020年度,また2021年度もドイツへの渡航の目処が立っていないため,一部の調査に見直しが必要となっている。当初,予定していたドイツでの企業へのインタビュー調査は今のところ未実施の状態にある。一部の海外や国内の実務家とオンラインでの意見交換などは実施しているため,本年度はオンラインをベースに調査計画を見直しアポイントなどを調整している段階にある。 またMFCAなどの環境管理会計の手法と組織のマネジメントコントロールシステムとの関係について分析を行い現在,論文を投稿し審査を受けている段階にある。またこれを補完する研究としてMFCAの継続的利用に関する分析を行なってきた。2020年度の分析を通じて日本で行政などの支援事業を受けてMFCAを導入した大半の企業は短期的にその利用を停止していたこと,継続的にMFCAを利用した企業と短期的に利用を停止した企業の間に特徴的な利用形態の差があったことが明らかになった。現在は論文作成の最終段階にあり,2021年度中に論文を投稿する予定である。加えてサーキュラーエコノミーへの社会システムの移行の文脈においてクローズドリサイクルシステムにおけるMFCAの利用可能性を検討し,研究を進めている。実証研究のベースとなるモデルを構築している段階であり,調査協力企業との連携を通じて実証調査を予定している。 後者について環境アカウンタビリティの連続性,整合性の問題については分析のためのテキストデータをサステナビリティ報告書をもとに収集し,データベースの整備が進んでいる。Rのstmパッケージを利用してstructural topic modelingのアプローチを用いて,企業のサステナビリティ戦略の変遷を変数化している。これにより日本企業のサステナビリティ戦略の傾向が変数化された。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度もドイツでのパンデミックの収束には時間を要する見込みであるため,今年度中の渡航も難しいと考えており,国外の共同研究者との打ち合わせはオンラインで実施する予定である。加えて2020年度に共同研究者の一人の方が体調問題が悪化し,現在,関連するプロジェクトを進展させることが難しい状況にある。これらを踏まえた上で,2021年度は下記のプロジェクトに関して調査を実施する。 最初にバランスト・スコアカードを環境マネジメントの利用のために拡張するために「環境の視点」が他の経営管理指標とどのようにむすびつくのか因果モデルの検証を進めていく。2020年度に実施したパイロットテストでは業績評価システムのデザインが意思決定に影響を与えることが示された。今年度はmulti criteria decision makingの条件下においてサステナビリティ情報へのウェイトがどのように変化するのかについて,引き続き検討していく予定である。 加えてサーキュラーエコノミーに資するMFCAのモデルについて検討する。サーキュラーエコノミーへの移行に伴い資源利用が見直され始めるなかで,クローズドリサイクルへのニーズが高まっている。クローズドリサイクルの資源生産性の把握,向上に対するMFCAモデルの貢献可能性を検討する。
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