研究課題
今年度は,マテリアルフローコスト会計の利用や普及に関する調査について,3つの分析および論文投稿を実施した。第一に,マテリアルフローコスト会計の組織での継続的利用について,過年度に実施した質問票調査データをもとに分析し,論文を投稿している。分析の結果,経済産業省の支援事業を通じてマテリアルフローコスト会計を導入した企業の多くは比較的,短期間でその利用を停止していたことが明らかとなった。またマテリアルフローコスト会計の利用を一定期間,継続した企業と短期間で終了した企業では計算システムのデザイン,組織体制などに有意に違いがみられることが示された。第二に,マテリアルフローコスト会計の利用を促進する環境マネジメントコントロールシステムのデザインについて分析し,論文を投稿している。マテリアルフローコスト会計はマテリアルフローをベースに資源生産性の効率性を評価することができるが,可視化に特化した技術であるため,その利用のためには他のマネジメントシステムとの連携の必要性が指摘されている。本研究では過年度に実施した日本企業への質問票調査データをもとに分析を行った。これによりマテリアルフローコスト会計は企業実践では,エンドオブパイプとフローベースの異なる2つの実践として企業実務家に認識されていること,またそれぞれの実践が異なる環境マネジメントコントロールシステムとの間に補完関係が構築されていることが明らかになった。第三に,マテリアルフローコスト会計が資源生産性の向上,またコスト削減に与える影響について分析を行い,論文が投稿され,採択されている。
3: やや遅れている
研究計画自体は概ね予定通り進捗しているが,この研究予算の趣旨である海外の研究者との協力について,コロナの蔓延の影響で渡航を見送っており,オンラインでの打ち合わせだけになっている。
来年度は,コロナ蔓延の状況を踏まえて渡航を予定している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Journal of Environmental Management
巻: 303 ページ: 114219~114219
10.1016/j.jenvman.2021.114219