研究実績の概要 |
本研究計画で予定していた資源生産性管理手法の利用に関連する基礎研究として,本年度は企業の資源生産性がそのコスト構造やコストビヘイビアに与える影響について分析を行なった。具体的には日本企業のデータを用いて,廃棄物発生量とCost of Goods SoldとSelling, General and Administrative expensesとの関係を分析している。これにより廃棄物発生量は企業のCost of Goods Soldと正の関係にあること,Selling, General and Administrative expensesとは負の関係にあることが示された。またそれらのコストのトータルであるOperating Costsは廃棄物発生量と正の関係にあったため,企業は収益性が向上する範囲内でのみ資源生産性管理活動を行なっており,今後,環境保全との関係を考える場合にはより一層の活動の余地が残されていることも示された。 加えて,本研究ではこれらのコスト項目について,コストスティッキネスと廃棄物発生量との関係についても分析している。その結果,廃棄物発生量がSelling, General and Administrative expensesとOperating Costsのコストスティッキネスを弱めることが確認された。 これらの結果,企業は資源生産性管理を通じて,一定程度は収益性のマネジメントに成功しているものの,よりダイナミクスに現象を捉えると,改善の余地があることが示された。
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