研究課題/領域番号 |
18KK0372
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
菅原 智 関西学院大学, 商学部, 教授 (40331839)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | アクティブ・ラーニング / 会計教育 / LEGO / 経験学習 / ラーニング・アプローチ / ドローン / プログラミング |
研究実績の概要 |
本国際共同研究では、ビジネスを学ぶ日本の学生とイタリアで学ぶ学生を対象とし、新たに開発するアクティブ・ラーニング(AL)を活用して会計教育を行い、結果として学生が習得する専門的判断力に対するALの効果測定と、教育効果に影響を及ぼす要因を特定し国際比較することを目的とする。 2019年度に実施した研究内容は以下のとおりである。まずこれまでLEGOを活用したALを開発し、当該教材を授業で実施しながら、学生の学習効果に関するデータを収集した。データ収集は、日本国内の教育機関、起業家の組織などを介して実施したのみならず、イタリアの大学に出向いて現地の学生に授業を行い、データを収集することも行ってきた。得られたデータは統計処理を加え、結果を編纂している段階である。編纂した結果は、2020年度に学会報告を実施し、得られたフィードバックを反映して最終的にはジャーナルに投稿する予定である。 また、現存するLEGOのALを利用するのではなく、新たに独自のAL教材を開発・実施し、データを収集するという拡張を実施してきた。これについては、ドローンとプログラミングを組み込んだ新しいALのビジネス・ゲームの開発に着手した。2019年度においては、教材の開発とパイロットテストを何度か実施した。大学生や社会人、小学生や中学生などを対象にパイロットテストを行い、教材としての不具合を修正することに努めた。次年度にも、当該研究対象に関しては、更にパイロットテストを実施し、教材としての完成度を高めていくことが求められると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までは当初の計画以上に進展してきた。 既存のLEGOを活用したALについては、これまでの蓄積により、教材の完成度が高く、データ収集を容易に進めることができた。日本国内でのデータのみならず、イタリアにおいても現地学生からデータ収集ができたため、国際比較研究としてふさわしいデータを収集することができた。また、当該データを分析した結果、当初から設定していたリサーチ・クエスチョンに適合した結果が得られた。後は、結果を的確に論文としてまとめる能力が求められる。論文作成、学会報告については、2020年度の課題としたい。 また、ドローンとプログラミングを組み込んだ新しい教材の開発も、当初は不安があったが、何度かのパイロットテストの実施により、多くの良きフィードバックを得られ、教材の改善に生かすことができた。会計やビジネス分野は、AIやプログラミングなど新しい情報技術の影響により、変革の時を迎えていると考えることができる。このような社会環境において、学生たちのこれからのニーズに合致したALを開発する目的で、研究を進めてきた。さらに、会計分野では近年注目されているクラウド会計についても教育の要請があり、この分野についても研究対象に含められないか検討を行ってきた。京都や静岡の商業高校との連携を通してこのクラウド会計やAIプログラミングを商業教育へ取り込めないかという模索も行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、2020年9月より1年間の予定でイタリア・パルマ大学に在外研究として滞在して、本研究を発展させる予定でいた。これは、長期かつ複数時点で効果を測定する介入(intervention)研究を試み、長期間に及ぶ研究データ収集・分析による研究成果の精緻化を図るという目的であった。しかし、新型コロナウイルス・パンデミックの影響を受け、在外研究の開始を1年間延期することを決定した。 本年度の研究の進捗については、まだ現時点では不確定となる側面は否めないが、国内でできることを改めて考えて進めていくことを予定している。第1に、すでに着手している新しいALの教材開発を進め、完成させることは国内でも実施できる。第2に、LEGOを活用したALによるデータはすでに収集され分析結果も得られたので、これらを活用して早急に研究の中間成果をまとめる努力もしたい。第3に、クラウド会計の会計教育的な側面からの研究テーマを明らかにして、本年度中に実施できるオンラインアンケートによるデータ収集を実施することを予定している。
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