研究課題/領域番号 |
18KK0374
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研究機関 | 国立社会保障・人口問題研究所 |
研究代表者 |
福田 節也 国立社会保障・人口問題研究所, 企画部, 第2室長 (90409433)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | 結婚 / 学歴同類婚 / 国勢調査 |
研究実績の概要 |
令和3年度においては、前年度に二次利用申請を行った国勢調査個票データ(1980年~2010年)を用いて分析の下処理を行った。具体的には、日本における学歴ペアデータの作成および学歴ペア別出生力を推計するためのデータ作成を行った。また、この過程でわが国における学歴同類婚の趨勢に関する重要な知見を得たため、これを英語論文にまとめ、日本人口学会の学会誌『人口学研究』に投稿し、7月に査読付き論文として刊行することができた。当該論文においては、従来優勢であった学歴同類婚(学歴が同じ者同士の結婚)や女性の学歴上方婚(夫の学歴が妻の学歴よりも高い結婚)が減少する傾向にあり、代わりに女性の学歴下方婚(妻の学歴が夫の学歴よりも高い結婚)が増加する傾向にあることを示した。また、このような変化は、当該期間における学歴構成の変化を加味してもなお有意な傾向にあり、人々の行動変容の結果であると結論付けられた。これらの結果は、日本や中・先進諸国における学歴同類婚の世界的な新潮流と一致するものであり、労働市場における二極化やジェンダー観の変化を反映した新たな結婚行動の表れではないかと推測される。学歴同類婚を巡る新たな結婚行動の出現については、以前に別の調査データを用いて明らかにしたが、今回、出生分析に用いる国勢調査データからも同様の傾向がみられたことは重要な知見であった。新しい結婚行動が出生に対してどのような影響を与えるのかについて、今後、本プロジェクトにおける国際比較分析とも照らし合わせながら明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、コロナ禍により引き続き海外への渡航がかなわず、海外の共同研究者との共同研究に支障が生じた。データの処理やモデル構築、またオンラインでのミーティングなど、国内で進められることは進めたが、渡航しての共同研究よりは進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究事業を1年間延期することができたため、令和4年度4月よりスペイン、8月よりオーストラリアに渡航し、現地での共同研究を開始する。スペインにおいては、バルセロナ自治大学人口研究センター所長のAlbert Esteve教授と、データやモデル構築、分析を中心に作業を進める。オーストラリアでは、オーストラリア国立大学人口学部長のEdith Gray教授と、理論構築や論文執筆を中心に作業を行う予定である。現地での共同研究を通じて、研究成果を発信するべく、プロジェクトを推進していく。
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