研究成果の概要 |
強相関電子系では、サイト間のクーロン斥力により、電子がとびとびに規則正しく整列した電荷の結晶状態が実現する。しかし、二次元三角格子系では、幾何学的なフラストレーション効果により、複数の電荷秩序パターンがエネルギー的に拮抗した電荷ガラス状態が実現しうる。本研究では、θ-(BEDT-TTF)2MM'(SCN)4(M=Cs,Rb,Tl,M'=Co,Zn)に対するノイズ分光測定からBEDT-TTF分子の末端エチレン基の構造ガラス転移がこの系の電荷ガラス形成に大きな影響を及ぼしていることを明らかにした。今後、電荷ガラス状態の実空間観察が、この系で観測される諸現象の解明に重要な役割を果たすと考えられる。
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