研究課題/領域番号 |
18KK0378
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
山口 直文 茨城大学, 広域水圏環境科学教育研究センター, 助教 (80634120)
|
研究期間 (年度) |
2019 – 2021
|
キーワード | 津波堆積物 / 堆積過程 |
研究実績の概要 |
これまで実施した基課題研究(若手研究B「津波による堆積・侵食過程の時系列解析:水理条件の復元に向けた水路実験」,課題番号16K17817)によって,地形条件や水理条件によって,津波堆積物の特徴が時系列堆積侵食過程から大きく影響を受ける可能性が明らかになった.本研究課題では,こうした時系列堆積侵食過程の影響について,定性的な理解を発展させ,現象のメカニズムの解明と定量的なモデルの構築を目指し,堆積過程の物理メカニズム研究に精通した研究者との連携が可能な英国のハル大学に滞在して共同研究を実施する. 初年度となる2019年度は,渡航に向けた準備と渡航の開始,および共同研究者との研究実施準備を行った.英国ハル大学の共同研究者らとの連携を取りながら渡航準備を行い,2020年2月下旬より英国への渡航を開始した.研究実施の準備として,共同研究者と津波流による堆積過程の課題について議論を行い,特に堆積物輸送における流れの非定常性と粒径依存性の影響について,今後の共同研究の足がかりとなる検討を進めることができた.一方で,新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ,英国滞在中に実施する予定であった水路実験による津波を想定した流れの空間的な時系列流速場の測定については,大学施設の使用制限を考慮した再検討が必要となった.この点については共同研究者と打ち合わせを行い,水路実験の新規データの取得に関しては帰国後日本での実施をメインとして,渡航期間中は既存のデータを活用して議論を共同で進めるとともに,今後の議論に必要な最低限の規模での実験を行うことで対応することになった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,2019年度は渡航先機関との連携を取りながら渡航準備を行い,2020年2月下旬より渡航を開始することができた.新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため,渡航先機関の大学施設の使用に制限はあるものの,共同研究者とのオンラインによる研究打ち合わせを定期的に行い,本研究が目指す詳細な津波流による堆積過程の課題についての共有と議論を進めることができている.
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため,渡航先のハル大学もキャンパスが閉鎖されており,大学施設の利用が難しい状況が当面続くことが想定される.このため,以下のような対応策を考えている.まず,共同研究者との議論はオンラインで問題なくできており,既存のデータの解釈などについては引き続き進める.一方,当初ハル大学において実施を予定していた水路実験については,状況が改善し次第,渡航期間中に実施可能な規模に縮小して行うことで,共同研究者と実験条件や測定手法,解析方法の議論が可能な状況まで進めたい.考察に必要となる詳細なデータの取得のための実験は,ハル大学で実施した実験の条件や測定手法を元に帰国後日本で行い,得られたデータについてハル大学の共同研究者との議論を行う.この方策についてはハル大学の共同研究者とも議論を重ねており,帰国後の議論や解析の共同実施についても問題がなく,継続的に協力を得られることを確認している.
|